ブルーノ・ムナーリの「ファンタジア」
ムナーリの翻訳本が出ました!
原書は1977年に出版されたので、30年前の本ですが、今読んでも十分に面白く刺激的です。ムナーリは、素晴らしいアーティストであると同時に、多くの人(とりわけ子どもたち)に作品を作るためのアプローチや方法を具体的に伝えようとしてきました。
「芸術は難しいものではない、だれでも創造的になれるのだ。それには、ただ自由にすればよいのではなく、具体的な材料、方法、アプローチが必要だ。」というのが、ムナーリの一貫した考え方だと思います。彼がダネーゼ社で商品化した Edizioni per bambini シリーズのいくつものおもちゃが、まさにその考えの具体化と言えます。その中には、プロジェクタのマウントに鳥の羽や色セロハンを入れて遊ぶもの、木の幹が印刷された紙に、葉っぱのスタンプを押していくものなど、誰でも失敗を恐れることなく、試行錯誤しながら遊べて、結果的に美しいものに出会えたり、芸術的な体験が味わえたりするおもちゃがあります。
この「ファンタジア」には、もっともっとたくさんのアイデアやアプローチが紹介されています。豊富な図版を見ながら読み進むうちに、色々なアイデアが湧いてくる感じがします。
原著は「芸術としてのデザイン」の原著と同じ出版社Laterza社。こちらはデザインが主題ですが、「ファンタジア」は創造性が主題になっています。美術教育に関わる方にぜひ読んでほしい本です。
ファンタジア
http://www.hyakuchomori.co.jp/book/pages/b27/b27_fantasia.shtml