ゾーヴァの新刊「怖るべき天才児」はいい
ミヒャエル・ゾーヴァ挿絵の新刊が出ました。7つの短編が収められていますが、どのお話も主人公は、特異な才能を持った子どもです。例えば、「存在の限りない軽さ」に出てくる男の子は、風船のように体がふくらんで、空中に浮いてしまいます。
苦肉の策として、鉛の靴を履いたり、鉛の服を着て、なんとか地面にとどまろうとします。そんな彼を、周りの子どもたちは、「バルーン」と呼んでからかいます。見かねた親は転校させ、そこでなんとか彼は安住の地を得ます。そして、彼はある先生と運命的な出会いをし、彼にしかできない天職とでもいうべき仕事を見つけます。彼の先天的な軽さと、先生から学んだ能力を使って、世に役立つ仕事をする機会が与えられたのです。
このアイデアはとっても素敵なので、本を読む方のために内緒にしておきますが、このお話はそこでは終わらず、彼の素敵な恋人との出会いも描いています。そして、意外な結末も、なにかほのぼのとした気持ちになります。作者のリンダ・キルトさん、なかなかやるな、という感じです。
ゾーヴァの絵も、明るい色使いと優しいタッチで、この話を盛り上げています。
怖るべき天才児
http://www.hyakuchomori.co.jp/book/michael_sowa/pages/isbn438404083.html