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「ムーミン谷の冬」読了

去年の夏頃からずっと読んできたムーミンのシリーズ。5冊目の「ムーミン谷の夏まつり」を4月ごろ、6冊目の「ムーミン谷の冬」を一昨日に読み終えました。

□ムーミン、トーベ・ヤンソンの本
http://www.hyakuchomori.co.jp/book/moomin/bk_moomin.html

「ムーミン谷の冬」は、冬眠中に目を覚ましてしまったムーミントロールのお話です。

家族はみんな眠ってしまっているので、彼は一人で冬という季節を過ごすことになります。でも、実は一人ぽっちという訳ではなかったんです。冬にしか出会えない生き物たちー彼らの多くは姿を見せたがらない恥ずかしがりやーや、ムーミン家の水あび小屋に暮らすおしゃまさん(トゥティッキ)、オオカミに憧れるイヌのめそめそくん、さらには偶然目を覚ましたちびのミイまでもが、ムーミントロールと一緒に冬を過ごします。

彼は淋しさや、子リスの死、冬という季節への怒り、ムーミン家を守る責任、迷惑なほど善意を持ち合わせたヘムレンさんをめぐる対立、などなどいろいろなことを体験します。その時その時を精いっぱい考えて行動します。

春の到来を告げる吹雪の中で、ムーミントロールはようやく冬を受け入れます。同時にヘムレンさんを受け入れ、ヘムレンさんは自分を好いてくれるサロメちゃんを受け入れ、イヌのめそめそくんは、イヌであることを受け入れます。

以前は待ち遠しかった家族の目覚めを今ではおそれながらも、ムーミントロールは一人で冬から春への季節の変化を体いっぱい受け止めます。最初の頃の淋しさはもう感じていません。ちびのミイは相変わらず、自分が気に入ったスケートをしているようです。彼女は最初から一人で楽しむすべを知っていたわけです。

やがて、ムーミンママが目を覚まし、スノークのおじょうさんも目を覚まします。他人との距離の取り方、自分一人で楽しむすべを身に付けた彼は少し大人になっています。じわりと余韻が残るラストシーンも見事です。