「ムーミン谷の夏まつり」読了
□ムーミン、トーベ・ヤンソンの本
http://www.hyakuchomori.co.jp/book/moomin/bk_moomin.html
長男(小6)は、自分で先に読んでしまうので、主に次男(小3)のために読んでやるのですが、夜は私の帰りが遅いことと、仮に読んでやっても、すぐに眠ってしまうので、ほとんど先に進みません。そこで、柿田のやり方を真似して、朝食の時に読んでやっています。行儀が悪いとは思いながらも、この年齢になれば話を聞きながら食べるということもできるので、やっている訳です。でもそのおかげで、こうやって少しずつでも物語を読んでやることができます。
「ムーミン谷の夏まつり」は、大洪水に見舞われたムーミン一家の物語です。
みんなは、近くを流れてきた大きな家に乗り移って、そこで暮らし始めます。しかし、ムーミントロールとスノークのおじょうさんは、木の上に置いてきぼりにされ、ちびのミイも家から落ちて水に流されてしまいます。残された家族たちは、悲しみに沈みますが、今暮らしている大きな家が劇場だったことを知り、そこでお芝居をすることにします。そうすれば、ムーミントロールたちにその噂が伝わって、再会できると考えたからです。
途中、スナフキンがちびのミイを見つけたり、24人の森の子どもたちの面倒をみることになったり、ムーミンたち3人(フィリフヨンカという娘と友達になるのです)は、ぬれぎぬを着せられて牢屋にぶちこまれたり、ムーミンパパの書いた脚本をみなが好き勝手にいじくりまわしてハチャメチャになってしまったり、といろんなことが次々と起こりますが、最後は狙いどおり、ムーミンたちの乗った船と、スナフキンやちびのミイが乗った船が、公演中の劇場の前にやってきます(大洪水の後なので、劇場も水に浮かんでいるし、お客さんも船で見にくるのです)。
ハチャメチャな素人芝居の最中に、ちびのミイとスナフキンが割り込んで再会を喜び、みんなでコーヒーを飲む頃には、もとの芝居は完全にどこかへ飛んでいってしまいます。でも観客はそれを喜んでいます。お客さんも舞台に上がって芝居に参加して、どんどんと楽しくなっていきます。そして、ムーミントロールとの再会。そのあともドタバタは続きますが、最後は水が引いたムーミン谷の家にみんなが戻ってきます。ムーミン家の住人たちは、自分の家にいるということをしみじみと味わいます。登場人物たちは、最初よりも幸せになって、この物語は終わります。
この物語にも、ほかのムーミンの物語と同様、いろいろ困ったことが起こったり、幸せでない人物が登場します。劣等感のかたまりのようなミーサ、親類に愛されず友達もいないフィリフヨンカ、24人の子どもの面倒をみることになったスナフキンは困り果て、ムーミンとスノークのおじょうさんは、家に帰れないどころか牢屋に入れられてしまいます。このようにこんがらがった糸が、トーベ・ヤンソンさんの魔法のような手で、見事にクライマックスでほどけ、人々は以前よりも幸せになって、自分のいるべき場所に戻ります。この最後の結末のつけ方が、本当に上手いと思います。物語を読み終えて、ほわ〜っとした幸せな気分にさせてくれます。