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赤ちゃんとママ増刊号「1・2・3才」 2002年夏号(発行:赤ちゃんとママ社)

ESSAY
笑っている場合ですよ!
柿田友広

 昨年から、ほぼ毎日10組の親子を対象に「遊びの会」を開いている。午前中約1時間、0・1・2歳の子とその親に、わらべ唄を通して、子どもとの遊び方やあやし方、絵本やおもちゃの紹介をするというのがその主なプログラムだ。お店の中にある「プレイオン」というスペースで行っている。普段ここは親子におもちゃで遊んでもらう場所だ。近くの子育て支援センターが休みの日や雨の日は、大変に利用者が多い。土曜・日曜は遠くからのお客さんでにぎわっている。

 「遊びの会」での私の出番はおもちゃを説明すること。先日、1歳の子とその親の前で、「ポストボックス」というおもちゃを説明した。

 「ポストボックス」は一辺が20cmくらいの立方体の箱のふたに丸や三角などの形がくり抜かれていて、その穴と同じ形の積み木を選んで入れていく一種のパズルだ。そのふたを開けたとたん、子どもたちが寄ってきた。私はまず、中にある色々な形の積み木を出し、それからふたを閉じ、そのふたに開けられている穴と同じ形の積み木を探し、今度はそれを中に落としていこうとした。

 しかし、私のその一連の行為は集まってきた子たちにほとんど阻止され、説明はままならない状況となった。というよりも、言葉による説明はもはやいらない状況となったと言うべきか。私の困った顔にお母さんたちから笑いがもれてくる。実際この子たち説明抜きでも私がやろうとしたことをどんどんやって見せてくれたわけだから、お母さんたちもそれで納得してくれたことだろう。

 この年齢の子どもたちはティッシュペーパーをつまむのが好きで、「目を離したすきに全部やられちゃった」なんて話はよく聞く。ルールを教えなければならない大人という立場からすれば、これは禁止すべき行為であるが、子どもの発達を願うという立場からすれば、「つまむ」という行為には大事な意味があるからやらせたい。

プレイクロス・ナイロン

 そこで私は、ティッシュをつまむ方は禁止して「ティッシュつまみ」の代わりになるおもちゃを与えてみては、と説明する。ナイロンの布などをあらかじめこの「ポストボックス」に詰めておけば、それを引っぱり出すから最適である。しか

し、それを最初から仕組んでおけば良かったのだが、この日は布を詰め込むところを子どもに見られてしまったので、私がつまみ出そうとすると、すぐその子たちに阻止される。つまり、子どもには詰め込むことも魅力的なのだから、「予期せぬ遊びの発見」があった、と良い方に解釈すればいい。だが、親に対する説明としては失敗の巻である。しかし、うれしいことに、私と子どもたちのそのやりとりが面白いらしく、またしてもお母さんたちから笑いがおこった。

 考えてみると、こんなところで笑ってくれるお母さんたちの雰囲気は、子育ての中で大変に重要であろう。この「ポストボックス」というおもちゃは、一般的には形を認識する知育玩具としてとらえられている。私はこの呼ばれ方が嫌いなのだ。こういうおもちゃを知育玩具なんて呼ぶ人は、「形の認識は3歳からで、うちの子はそれより早い」とか、そんな風にぎすぎすしてやしないか。笑っている場合じゃなくなってしまう。私のおもちゃのとらえ方は「親子のコミュニケーション」のための道具。形の認識より、詰め込んだり、つまんだり、引っ張ったりという本来の目的ではないかもしれない遊びを探し出すのが楽しいし、そういう中から、子どもの成長に共感する喜びも感じ取ってもらいたいのだ。

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