東京のある保育園で、以前、かなりの量のこのおもちゃで遊ぶ子どもたちを見かけました。木製レール列車遊びから発展し、駅、街、動物園へと、空想世界が広がっていったようでした。
動物たちは、どれも年季が入っていて、色も黒光りするほどだったのに、私にはそれが、とても美しく輝いて見えました。「開園当初、思いきって買い揃えたものだから、もう20年になるかしら……」と園長先生。長い年月、子どもたちに愛され続けた美しさだったのです。
デザインって、余分なものを省き、洗練されればされるほど、ある種の冷たさが生じやすいものだと思います。ところが、この動物たちは、洗練されたシャープなデザインでありながら、ほのぼのとした温かみがあります。
それは、工作機械と、人間の手作業の巧みな組み合わせのなせる技でしょう。また、作者の動物を見る確かな目と、デッサン力に、私は深い感銘を受けてしまうわけです。