クマのぬいぐるみをもう1つご紹介しましょう。前項のシュタイフ社のクマはテディベアと呼ぶにふさわしいものでしたが、ここで紹介するクマはちょっと違います。ドイツのメーカー、ケーセン社が「自社のクマはテディベアではない」と明言しているんですから・・・・・・。
これはつまり、かわいらしさよりもリアリティにこだわった物作りをしているってことなんですね。製作の第一歩はデッサンだそうです。
同社のハリネズミやリスなんかはとてもかわいいんですが、肉食系のライオンやクマは強さのほうが強調されています。幼児にとって“強いもの”は、やはり一つの憧れなんですね。
甘さを排除し、リアルに仕上げられたケーセン社のぬいぐるみの表情を見るたび、私はフェリクス・ホフマンやレズリー・ブルックの描く絵本(『おおかみと七ひきのこやぎ』や『金のがちょうのほん』共に福音館書店刊)の中の動物の絵を連想してしまうんですね。