さて、廃番製品を取り上げます。おもちゃを考える時、大量生産、大量消費の流れの陰で消えていくおもちゃたちに目を向けることも、意味のあることだと思うからです(現在は木製の復刻版が出ています)。
さて、このおもちゃ、「ああ、よくあるわネ」なんて言わないでね。この作品こそ組木*の先駆者なのですから。
作者はイタリアのエンツォ・マリさん。絵本作家イエラ・マリさんの旦那さんです。私は、どんなものにしろ、最初に作られた製品にこそ、ある種の厳しさと美しさがあると常々思っています。廃番にもかかわらず、ここでご紹介するのは、この『16の魚』にも、このことがいえるからです。
のびやかな描線が斬新です。とくにタコが綺麗!水族館ごっこや(ウツボ、サメといった悪役もいるので)水中冒険ごっこにもなりそう。バランスを取りながら積木にする子もいるでしょう。箱に納めるときには、パズルにもなります。ホント、惜しい廃番です。
*ここでいう組み木とは、糸ノコを使って、1枚の板を動物などに切り分けたおもちゃ全般を指します。