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ソトコト 2003年7月号(発行:木楽舎)
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深みがあってユーモラス |
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クマの名前は日曜日 |
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ベストセラーの『ちいさなちいさな王様』と同じコンビによる絵本である。 主人公の「ぼく」が夢の中でぬいぐるみとしておもちゃ屋さんで売られてしまう。クマの家族が買いに来る場面があり、クマの家族が買いに来るのだが、ちょっとこわい。ゾーヴァのいかにもドイツ的な暗い絵が、ハッケの作る皮肉っぽい話にぴったりだ。 だいぶ前の話だが、私は日本に留学しているドイツ人の女子学生にドイツの印象を訊かれたので、ほめるつもりで「暗い」と答えたら、彼女は傷ついてしまった様子だった。あわててその重厚な感じが好きだとかなんとか説明したが、しどろもどろでどうもうまくいかない。「日本の文化って、ほら軽薄で安っぽくてさぁ…」てなことを言いかけたんだけど、うつむいている彼女を前にだんだんこちらも萎縮してしまった。「ゾーヴァの絵みたい」とかなんとか言えたなら、この場の雰囲気は打破できたかもしれないと今になって思う。 「深みがある」と「ユーモアがある」というのは、相反していることが多いのだが、このコンビはこれを同時にやってしまう。北ドイツの人は、可笑しな事があってもその場では笑わず、家に帰ってから笑う、とドイツ人の間では言うらしいのだが、この絵本もまさにそんな感じ。後からじわじわっと可笑しさが涌いてくる。 映画『アメリ』でゾーヴァの絵が使われて以来、日本でも今ゾーヴァは若者に超人気である。 柿田友広 |
スローフード、スローライフを提唱している「地球と人をながもちさせるエコ・マガジン」ソトコトに、柿田が絵本紹介のコーナー百町森SELECTIONを連載しています。 クマの名前は日曜日アクセル・ハッケ/作 ミヒャエル・ゾーヴァ/絵 丘沢静也/訳 1,500円(税別)
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