3月22日第1回「平和のための読書会」を終えて
3月22日(土)18:30〜
韓国・朝鮮の本の読む「平和のための読書会」を開きました。
韓流のファンという中学生含め、21人もの参加者が来てくださいました。
在日コリアン2世の李恵順(リ・けいじゅん)さんとその息子の劉瑛哲(リュウ・ヨンチョル)さんにお手伝いしていただき会を進めていきました。
李さんは百町森開店当初からのお客さんで、30年来のお付き合いをさせていただいています。李さんは当時朝鮮学校の先生をされていて、学校に文庫を作ろうとして百町森へ何度もいらしてくださいました。
そしてよく、親子で百町森のイベントにも参加してくださった方たちです。
韓国・朝鮮の本の読む「平和のための読書会」を開きました。
韓流のファンという中学生含め、21人もの参加者が来てくださいました。
在日コリアン2世の李恵順(リ・けいじゅん)さんとその息子の劉瑛哲(リュウ・ヨンチョル)さんにお手伝いしていただき会を進めていきました。
李さんは百町森開店当初からのお客さんで、30年来のお付き合いをさせていただいています。李さんは当時朝鮮学校の先生をされていて、学校に文庫を作ろうとして百町森へ何度もいらしてくださいました。
そしてよく、親子で百町森のイベントにも参加してくださった方たちです。
前半は私が絵本2冊『ソリちゃんのチュソク』と『さんねん峠』を読み、李さん親子がその文化的な背景や習慣などを話してくださいました。
『ソリちゃんのチュソク』―チュソク(秋夕)とは日本のお盆にあたるもの、旧暦8月15日満月の頃に親せき皆がふる里に帰り、祖先の墓参りをしたり、秋の収穫を感謝したりします。絵本 は帰省ラッシュの場面から始まります。絵がとてもユーモラスで親しみがあります。チャリェ(先祖に収穫のお礼をする儀礼)のところでは女性が部屋の外にい る場面を劉さんが「女性はその家に入るが、その家族の一員にはならない」と夫婦別姓に関連した話とともに説明してくれました。とはいえ「実際には女性 が強い」と李さんはおっしゃっていました。(笑)
『さんねん峠』―この絵本は文の作家も絵の作家もどちらも在日コリアンで、その点が画期的だということでした。こうした絵本が出せた背景、出版社、編集者のリベラルな思いも見逃せません。
前半最後は山崎直子が朝鮮の昔話「金のつなのつるべ」(『ネギをうえた人』より
)をストーリーテリングしました。
そしておやつタイム、李さんが作って持ってきて下さった冷製チャプチェや朝鮮のお餅と、『おいしいよ!はじめてつくるかんこくりょうり』を参考に山崎直子が作ったソンピョンを皆でいただきました。
後半は「在日」をテーマに李さん親子にご自身のご家族の事や最近の情勢に絡めたお話をしていただきました。
劉さん曰く「例えばぼくの祖父は強制徴 用で朝鮮から日本につれてこられた人、炭坑で働かされていたという話で背中に鞭の痕が入っていた。仕方なく日本にやってきた人もいるのです。そういう人には国外退去しろとはいえないから日本が永住許可をしたのです。ぼくらの外国人登録証にある「朝鮮」というのは国ではない。(終戦=解放の時は韓国も北朝鮮もなかったわけで)韓国とか北朝鮮とか2つに分ける必要はない、もともとは1つ、その朝鮮半島から来た人間だから僕らは朝鮮人だと言っていた。祖父はそう主張していて、ぼくもそ う思うから朝鮮籍なんです。」
一部のひとが言う「在日特権」というものはないようです。
在日の方は2世3世ともなると、私たちと同じ故郷、同じ原風景で育っているので民族ということを意識しない日常の中では日本人に限りなく近い。しかし、この劉さんの言葉は遠くに力強く輝いている星ように私には思えました。その先には本当に民族の誇りを持っている人の尊厳を感じました。
でも、真に民族の誇りを持つ者は他民族をも尊重するものだというのは私の持論です。それが即対立を意味するものではもちろんありません。とはいえ、この1回限りの会で急に理解ができるものではない。いや、あるいはこの先もずっと理解できない部分はあり続けるだろう。けれども、お互いが尊重しあえるように、こうした機会を作り、少しずつ垣根が取り払われることを願います。
参加者からの質問もいただきこの会は大変充実したいい会になりました。
また参加者の感想も素晴らしいものばかりでした。
これはその中のお一人草谷桂子さんのブログから
「最近ヘイト・スピーチなる心地悪い発言が多く心寒い出来事だと思っています。
李さんの息子さんが最後に伝えてくれた言葉。
「相手を知って嫌いになるのならいい。でも話し合ったり理解しようとする努力もなしに嫌いになるのはお互いにとって不幸だ」
李さん親子さんの話しぶりはとても穏やかでヘイト・スピーチの対極にありました。
「自分たちを『負』の存在とは思っていない」と静かに語った李さん。
尊厳を傷つける言葉を平気で発するのは本当に恥ずかしいと肝に銘じた時間でした。」
また別の人はこうおっしゃっていました。
「触れてはいけないところかなと避けてた部分があったけど、同じところに住んでいるのだからもう少し仲良くしていけたらと思った。」
中学生も「交流できたら楽しくなる」と、テレビの取材に素晴らしいコメントしてました。
李さんもテレビの取材に答えて「垣根を越えていいんだなという感じの互いの感触はあったと思った」とおっしゃってくださっていました。
最近日本のメディアでは差別的な事柄を扱う報道が増えて、民主主義の危機を感じている人も多いのでは。
そうした中で、このような市民レベルの交流が持てた事を私は嬉しく思います。そして、皆がもっともっと日常的にこうしたことを「話すこと」が大事だと感じました。
後日、このblogを読んだ李さんから以下のようなメッセージをいただきましたので紹介させていただきます。
「・・・とても素敵なそして有意義な会を開いて頂き、また、このようなblogにまとめて頂けたことを心から感謝いたします。
日本で生まれて日本で育ち暮らしてもう60年を迎え、在日の世界でだけでなく、日本の多くの仲間や地域の方々、大学教育や仕事の場を頂き成人となった子どもを育て上げた私には日本は暮らしの基盤です。
母国は心に在り続け、そして、この日本で日本の皆さんに囲まれて暮らす在日にとって日本と日本の友人達は大きな生きる力となっていることを読書の集いの間ずっと感じておりました。
もしまた機会が在りましたら是非とも呼んで頂きたいと思います。
そして、私共親子だけでなく、マチガイナク皆さんの近くにいる在日と是非関わって頂けたら幸いです。」