キュービクス 対談2

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ウルトラマン
(by黒坂牧師)


「重力の花、がらがらどん」と言いながら2番目のパーツを引くと・・・
うまく、下のパーツにはまりました。この子はいい子(笑)。


秋山さんの遊び

■大人がはまるキュービクス■

相沢:キュービックスは大人がはまるっていうのがあるよね。ま、ネフ社の製品はみんなそうなんだけどね。たとえば、黒坂牧師のウルトラマンなんて象徴的だと思うけどさ、えっと、このネフのロゴがカラータイマーなんだけどさ。
佐々木:あー笑っちゃうよね。
相沢:それとか、北海道の藤田さんのがらがらどんって作品もそうなんだけど、こう組んで。「重力の花。がらがら、どん」って声をかけて、このパーツを引っ張るんだよね。そうすると、がらがらっと崩れて、ここに入ったこの子はいい子。入らないのは悪い子。で、点数を決めて、何点とれるかって遊び。
佐々木:ははは。
柿田:なんのこっちゃ。
相沢:他に、いさみ保育園園長の秋山さんの考えた遊びがあるんだけど。まず、こうやって3点で一番大きいパーツを立たせて、4つのパーツを次々3点積みにしていくんだよね。残りのこのパーツの上にこの3点積みのものを乗せるんだよね。
柿田:本当は、下のこっちも3点積みにするんだよね。
相沢:そうそう。でも、それは、すごい難しいので、取りあえず下はこの形にしておいて・・・。で、これを「どーん」とやるんだよね。すると・・、あ、失敗。
柿田:うまくいくとこうぱらぱらぱらっと入って、立方体になるんだよね。
相沢:単に、そういう遊びなんだけど。成功するのは20回に1回くらいだよね。だから、何だってかんじだけどね。
柿田:実にストイックな遊びだよね。
佐々木:でも、そこに遊びの精神ってあるよね。だから、何だ。ってところ。
柿田:「まず、こうやって作ってみましょう。」とか「かっこいいのを作ってみましょう。」とか言って、見本通りにやるのってなんかなさけないよね。こう、もっと自由に遊びたいよね。
相沢:そうだよね。大人の遊びで最たるものとしては、私の考案したどうやったらキュービックスが一番高く積めるかって遊びがあるけどね。(『げ・ん・き』誌上で「ネフQ」クイズを行った。)つまり、キュービックスの中に、大人がしっかり夢中になる、はまる、柔軟さがある気がするんだ。
柿田:積み木を積むものだって考えずに、積み木は遊ぶものって考えていくっていうのがおもしろいよね。遊ぶって中の一つに積むことがあってね。積み木って名前にこだわりすぎちゃいけないよね。
佐々木:最初の対談のアングーラの話とも関連するよね、積むんじゃなくてどうやって壊すかって話。
相沢:積み木って名前はそれでいいと思うんだけどね。言葉に惑わされず、あらゆる遊ぶための道具として考えるってところはおもしろいよね。
佐々木:積み木の典型的な遊びは、積んで壊すことと、ごっこだよね。
相沢:たわいないっていうのも、遊びだからいいんだよね。十分に遊んで、十分に充足していくっていうのがいいよね。


大抵、中は見えない


中で眠っている


キュービクスの中にプラステンのコマが・・・


■恒例「うちの子はこう遊んだ」■

佐々木:うちの子は最近、4人乗りバスと組み合わせて、遊んでいるんだよね。キュービックスの中にこの人形を入れて、「このお客さんどうしたの?」って聞くと、「ここで寝てる。」って言うんだよ。
相沢:うちの子はキュービックスとプラス10と組み合わせて、ここにはめて積んでくのが好きだったね。プラス10を並べるのも積む行為の中の一つなんだよね。なんか知らないけど、こうやってきれいに積んで、よく遊んでたよね。
佐々木:これおもしろいよね。なんか知らないけど、子どもってそれなりの秩序をもって並べるのって好きだよね。
相沢:秩序があるものが美しいという快感だって発見だよね。札幌の太平保育園の室内遊びの1年間の記録を見ると(現在『げ・ん・き』の巻頭カラーページで連載紹介しています。)、5歳児のクラスでフレーベルやネフの積み木を使って、ものすごい数のシンメトリーを作っているんだよね。色や形を完璧にそろえてね。
柿田:それっておもしろいよね。教えたわけでもないのにね。
相沢:秩序があるのが安定するっていうか落ち着くっていうのが、自然にわかるんだろうね。
柿田:積み木っていうのは、どっからきたら日本語なんだろうね。英語では、ブロックだよね。ドイツ語では、バウクレッツエンって言うんだけど、バウには建築というような意味があって、どこにも積むっていう意味はないんだよね。色についてだけど、クラーセンは最初からこのグラデーションを考えたのかね? それともネフ社で色を付けたのかな?
相沢:たしか、最初のデザインは全部白木で、この2番目のパーツだけが赤だったと思うね。
佐々木:このパーツが特別なパーツだってことだね。
相沢:クラーセンもこれを発見したときは、きっと小躍りしたんじゃないかと思うよ。それくらいすごいよね。このパーツは。

■キュービクスの発見があったから、今のネフがある■

柿田:キュービックスとネフ社の出会いが、ものすごいものをもたらしたんだよね。
相沢:まさに運命の出会いだよね。たぶん未だにキュービックスがネフのドル箱商品だと思うよ。これがあったから、ネフ社は今の位置にいると思うよね。
柿田:本当にそうだよね。とにかく、普通、木のおもちゃメーカーは存続できるかどうかっていう岐路が何度もくるんだけど、このキュービックスがあったからこそ、ネフがあるって感じがするよね。
相沢:そう、キュービックス以降のセラ、アングーラと続くクラーセンの作品が今もネフ社を支えているんだよね。
佐々木:つまり、クラーセン以後、ネフを支えていくようなデザイナーは、相沢氏しかいないってことかな。
相沢:ははは。そうなれれば、うれしいよね。
柿田:グラデーションのことなんだけど、この塗装の技術とか、アーテスティックなものに完成していくってところが、クラーセンだけではなせない、ネフの力ってものがあると思うんだよね。
佐々木:そう、僕もそこをすごく知りたいよね。デザイナーの一つの作品を、商品としてこのレベルまで持っていけるその力はネフのどこにあるのか。
相沢:ネフ社とデザイナーの関係が非常にうまくいっているんだよね。
柿田:塗装を6回するとか、白木で終わらずにグラデーションにする、そこのリスクをおって、あえて製品化に踏み切ったところ。
佐々木:こんなに、手間かけて、そうすれば当然値段も上がるのに、そこに踏み切ったってところが、本当にすごいと思うよね。やっぱり最終的にはネフさんの力かな?
相沢:初代社長のネフさんの「思い」でしょうね。きっと。
柿田:そうだよね。
相沢:前にネフさんとある作品について話をしていた時、「これはいい作品ですが、これを、ネフで製品化すると高くなりますね。」って、ネフさんが自分で言うもんね。
佐々木:この作品をうちで作ったら、採算が合うか合わないかっていうのを、ネフさんの直感力で選んでるところがすごいよね。クラーセンに会った時にも、それを直感で感じて、見抜いていたと思うんだ。その辺をいつか、ネフ社に行って聞きたいよね。
柿田:キュービックスと出会った時のネフさんはどう感じたのか、ってね。うーん。ぜひネフさんに会って直接聞きいてみたいね。
相沢:ネフの技術とピエールの発想ががちっとあった奇跡があるよね。
佐々木:その奇跡の歴史を書き記していくのは、相沢氏の仕事だよね。
柿田:俺ももの売りの原点を初代ネフさんに学ぶことがあるよね。作品と出会って「うれしい」ってところで、きっとこつこつ売っていったんだと思うんだよね。リグノ、ネフスピールの後に、ぜひキュービックスにも出会ってほしいって感じがあるよね。
相沢:そう、ここに全ての基本があるんだよね。
佐々木:新人歌手を売り出す、デビューアルバムって、まず間口を広くするんだよね。いろんな角度から見て、その中にその歌手のすべてが凝縮されている。2作目以降で、そこから発展させていくんだよね。だから、キュービックスもデビュー作として、コアになる部分があるよね。
柿田:赤のグラデーションは、この黄色がいいね。赤が黄色からのグラデーションになるのがきれいなんだよね。色が楽しめるよね。
佐々木:実に美しいね。さて、次回は何にしようかね。
相沢:やっぱりダイヤモンドじゃないですかね。
佐々木:クラーセンのデザイン順はどうなの?
相沢:キュービックスでダイヤモンドでセラですね。
柿田:あ、やっぱりそれじゃあ、次回はダイヤモンドだね。
佐々木:では、全体的に30周年はめでたいってことで。

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