03 登場人(?)物に会いに行きたくなる 相沢康夫の連載まんが「黄い太ちゃん」
ガリ版刷りの「コプタ通信」の第2号から、わが相沢康夫の連載漫画は始まりました。当時、彼はまだ百町森のスタッフではなく、漫画家や絵本作家になりたいという想いを抱いた一人のお客さんでした。そこで気軽に頼んだらOKしてはくれましたが、ガリ版で描くという事には苦しんでいた様子でした。なんせ、刷ってみないことにはどんな状態なのか判りませんからネ。しかし、これが実に、予想以上にうまく刷れたのであります。そして、一回目は4コマ漫画だったのですが、二回目からは8コマ漫画になりました。この方が表現しやすいということでした。
内容はオニの村の話で、黄色オニの黄い太という男の子が主人公、タイトルも「黄い太ちゃん」。母親は死んでしまったらしく、父子家庭で育っているという設定。がさつなで酒好きの父親、だが母親を愛していたらしい。黄い太の友だちのちょっと足りない感じの「みどざえもん」が実にいいキャラを出して話を盛り上げてきます。他にまじめで優等生の「チェス」、雷の子の「雷吉」、へこきの「石太郎」、ガールフレンドらしき「よっちゃん」、等々。これらが、家や学校で巻き起こすたわいない話なんだけど、ほのぼのしているんです。通信をしばらく五味太郎さんの所に勝手に送っていたのですが、五味さんは初めて相沢氏と会ったとき、「黄い太ちゃんそのものだ。」と言ったのを今でも覚えています。登場人(?)物は実際の同級生がモデルらしいのですが、今読み返しても、何とも温かい雰囲気に包まれた漫画でした。
(コプタ通信2004年07月号より、漫画:相沢康夫)