08 暇な日に配達に行くブッククラブ
「子どもを本の好きな子に育てたいのだが、どんな本を与えたらよいのかわからない。忙しくて書店で本を選んでいる暇がない。こんな悩みをお持ちの方のために、百町森のブッククラブはあります。・・・」という記事が、1981年のコプタ通信に出てきます。ブッククラブというシステムは開店当初から考えていたのです。でも、何を隠そう、お店が暇で暇でしょうがないから始めたんです。
もともと、私はセットで何十万円もドカンと売る販売方法に疑問を感じていました。セット販売は買う側としてもあまりにも受身ですよね。売り手と買い手が会話しながら、こちらの意見を言ったり、お客さんの意見が本のリストに反映したり、通信を読んでもらって追加注文が来る(虫がいいか)生き生きした販売を私はしたかったのです。一巻読んだ人から「二巻目をくれ。」なんて言われると、私は嬉しくてしょうがない。
ですから、ブッククラブをやる場合、コースは選んで頂くにしても、「その本持ってるから変えて。」なんていう融通のきくシステムがいいと思っていました。
最初の頃は、お店が暇な日に、配達に行っていました。ですから、「配達はいつごろですか?」なんて質問が来ると、「暇な日に行きます。」ってなもんです。私はこの方法で、お客さんと直接会話し、いろいろな事を学び、現在のシステムにたどり着いたのです。融通が利く分、追加注文のところで間違えたりすることも多いのですが(ご迷惑かけてすいません)、そして、手間のかかる分、こちらとしても例によって儲からない訳ですけど、私としては実に納得がいく方法なのです。
今は配達から冊子小包や宅配便に変えましたが、これほど電話でやりとりするお店は他にないんじゃないでしょうか。そして、恐らく、日本一長く続けてくれるお客さんの多いブッククラブだと思います。
(コプタ通信2004年12月号より)