12 運命的な出会い

「真学塾」をしている頃は小さなイベントをしても、大抵人がいっぱい集まりました。塾の子達が来てくれるからです。独楽のおっちゃんに独楽のショー(これはその後相沢康夫積み木ショーにつながっていくんですが…)をしてもらったり、『昆虫記』を出したばかりの今森光彦さんに昆虫への思いを話してもらったり、まだデビューしたての「トラや帽子店」にコンサートをしてもらったり、そして、「人形芝居くりちゃん」の企画で全国各地の人形劇を見ることもできました。これらは皆大変充実した催しでした。店の横のガレージでやったので、会場費もいらず、何とか採算がとれました。でも、前にも言ったように、イベント屋になりそうなこと(本を買ってもらいたくてやっているのに…)、さらに乳児や幼児のために本を買いに来るお客さんが多い中、イベントの対象年齢が小学生というジレンマを抱えていました。

そんな時、百町森の運命を変える人物と出会うことになります。その人は樋口正春さん。『子育てにおもちゃを』の著者で、保育者を連れてドイツの幼稚園を見学に行ったりして、当時この人におもちゃの話をしてもらうと面白いという噂が広まっていました。

私は早速相沢と樋口さんに会いに東京に出かけました。

樋口さんは本当に嬉しそうに、おもちゃを次々紹介してくれました。その時に、私たちはネフ社の「キュービックス」と「セラ」に出会い、ベック社の「シロフォン付き玉の塔」や、シャーフ社の「ミュージックボックス」と出会い、本当に大感動しました。これは私が学生の時、絵本に出会ったのと同じように、大きな大きな出会いだったのです。

私は即座に、こんなおもちゃを、うちのお客さんにも紹介したい、真学塾の子供達に見せたい、そして、これなら、乳児・幼児の本を買いにきた人にもお勧めできると思いました。しかし、当時、百町森のすぐそばにこれらのおもちゃを扱う店があったために、すぐには販売ができなかったのです。

(コプタ通信2005年04月号より)

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