百町森お店日記:その2『おじいちゃんと贈りもの』
百町森には毎日いろんなお客さんがいらっしゃいます。お子さんと一緒に遊びにくるお母さんや、仕事のお昼休みに寄ってくれたお父さん、お孫さんのためにプレゼントを用意しようと、おじいちゃんおばあちゃんもいらっしゃいます。
2月の初め、新聞の切り抜きを手にひとりのおじいちゃんが百町森にいらっしゃいました。新聞で紹介されていた絵本を探しているとのこと。その絵本はモーリス・センダックの「チキンスープ・ライス入り」だったのですが、あいにく店頭には在庫がなく、お取り寄せさせていただくことに。絵本を探している時もお取り寄せの手続きの間も、「2月末に孫に会いに行くんだけどね。孫におみやげを持っていこうと思ってね、この本良いなぁと思って来てみたんだよ。」と嬉しそうに話してくれるおじいちゃん。本のお取り寄せには1週間から2週間かかりますが、2月末までには大丈夫だと思いますよ、とお伝えすると「それは良かった。」とにっこり笑って帰られました。
ところがところが!運悪く「チキンスープ・ライス入り」はちょうど出版社で品切れ、再版中だったのです。問屋からは2月24日出来予定の連絡が。すぐにおじいちゃんに電話で連絡とりました。2月28日にお孫さんに会いに行くということで、「それまでに間に合えば嬉しいけれど、間に合わなければ良いですよ。」とおっしゃって下さいました。本の入荷はいつも大体金曜日になります。24日の次の金曜日は・・・27日。ギリギリです。違う問屋にも一応頼んでみて、入荷次第すぐに発送してもらえるようお願いしました。
間に合えばいいなぁ・・・と過ごすこと2週間半。おじいちゃんが入荷の状態を気にして百町森まで来てくださいました。「どうかなぁと思って寄ってみたんだよ。いや、家はすぐ近くだからね、散歩がてら来てみたの。」残念ながらまだ入荷していないこと、入荷は多分本当にギリギリになってしまうことをお伝えすると、「無理を言ってごめんね。でも孫にぜひ持っていきたいんだよ。」と、パスケースに大事そうにしまってあるお孫さんの写真を取り出して見せてくれました。何とかして間に合わせてあげたい!けれど、再版出来予定は延びることも多く、必ず27日に入荷するのかはスタッフでもわかりません。申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、「入荷したらすぐに連絡しますね」と約束しました。
そして運命の27日金曜日。朝店に来てみると、すでにひとつの問屋から荷物が届いていました。しかし、その荷物には「チキンスープ・ライス入り」は入っておらず・・・もうひとつの問屋からの荷物を待つことになりました。ところがなかなか荷物がやってこない!「雨だからかなぁ」とか「今週祝日あったっけ?」とかスタッフもそわそわ。そこへ待っていた荷物がやってきて・・・ちゃんとちゃんと入っていました、「チキンスープ・ライス入り」!!すぐにおじいちゃんに連絡をとるも、留守なのか電話にでられません。「入ったよ?おじいちゃん?!!」と叫びたい気持ちを抑えつつ仕事をしていると、まもなく、おじいちゃんみずからお店に来て下さいました。おじいちゃんを見た瞬間、私ものすごく笑顔だったんでしょうか、「さっきあなたの顔を見たらね、笑ってくれたから来てるってわかったよ。間に合って良かったなぁ。ありがとう。」とおっしゃって下さいました。 またお孫さんの写真を見せてくれて、「これで孫達に会いにいけるよ。おみやげがないなんて言えないもんなぁ。」と本当に嬉しそう。「世話かけてごめんね。ほんとうにありがとう。」と何回もお礼を言って帰っていかれました。こちらこそご心配をおかけしてしまって・・・本当に申し訳なかったのですが、優しいおじいちゃんの言葉で救われました。今頃お孫さんと一緒に「チキンスープ・ライス入り」楽しく読んでもらえているでしょうか。喜んでもらえているといいなぁ。
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