暮らしのあれこれ63 『福島菜の花プロジェクト』
食品への異物混入の話題が世の中を賑わしています。食品に、虫とか髪の毛とか、入っていたらいやですよね。
テレビでは、異物が混入しないよう、あらゆる工夫をほどこし、努力を重ねている餃子会社の取り組みを紹介していました。徹底的な管理体制なのに、虫と髪の毛の混入のクレームが1年で52件(確か)あったそうです。あえて誤解を恐れず言わせていただくなら、異物より混入してはいけないものがあると思います。放射能、農薬、添加物などです。これらは見えないので、混入していても気がつきません。目に見えないものの混入のチェック体制はどうなっているのでしょうか?ふと、感じた疑問です。製造側もそうですが、消費者もチェックを要求していくべきだと思います。
さて、チェルノブイリ救援・中部の『福島菜の花プロジェクト』のことを紹介します。チェルノブイリ救援・中部は、チェルノブイリ原発事故から4年後の1990年に、ウクライナ被災者への支援と現地の自立を目指し発足したNPOです。私は、この団体が行っているミルクキャンペーン(汚染されていないミルクを母親達に届ける)に賛同して協力したのがきっかけで、こちらの活動に注目し、個人的にミルクキャンペーンに募金して、今年で25回になります。そして、2006年からは『ナロジチ再生・菜の花プロジェクト』への募金も追加しました。これは、医療・物資の支援に加え、大地の復興を目指してスタートした支援で、この経験が『福島菜の花プロジェクト』に繋がっています。
2007年からウクライナで始めたナタネ栽培の技術が、今福島でも役立とうとしています。『汚染されない油は食用に、汚染している油粕などは「バイオガス」原料として使用する。遺伝子組み換えや農薬の心配のないナタネ油を福島の特産にし、同時にバイオガスで原発に依存しない持続可能なエネルギーの自給を目指す。というのが『菜の花プロジェクト』の未来図です。』(チェルノブイリ救援・中部の通信ポレーシェより)
昨年、『福島菜の花プロジェクト』により、南相馬で収穫された菜の花から念願のナタネ油が完成し、「油菜(ゆな)ちゃん」の名前で商品化されました。もちろん放射能はなし(測定済)。菜の花には、Cs(セシウム)137とSr(ストロンチウム)90を吸い取ってくれる性質があります。そして、Cs137とSr90は水とくっついく性質(水溶性)を持っています。その為、菜種から得られる油やバイオマス発酵して得られるガスには入り込まないのだそうです。さらに製法にもこだわっています。ナタネを栽培しているのは南相馬市の有機農家7名。無農薬栽培です。ナタネの品種は「キラリボシ」「キザキノナタネ」非遺伝子組み換えの国産ナタネ。油の搾り方はヘキサン(溶剤)を使用しないスクリュー式搾油機を使用、不純物を沈殿させてじっくり濾過しています。ネーミングは相馬農業高校農業クラブの部員が担当。安全性をとことん追求した奇跡のような真実の油です。
このナタネ油「油菜ちゃん」(1,000円+税/300ml 2,500円+税/900ml)は百町森でも限定販売しています。しばらくは百町森でも扱っています。さっそく私も買って、静岡名産桜海老のかき揚と野菜、しいたけのてんぷらにしました。美味しく出来上がりました。みなさんもぜひお試しいただき、『福島菜の花プロジェクト』にご支援いただけたらうれしいです。
消費者として、志高き生産者を応援していきたいと思います。
山崎直子