暮らしのあれこれ93 ミツバチから考える
ミツバチが大量に死んでしまったり、いなくなってしまう現象「蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん)」が2006年くらいから世界各国で起きています。もちろん日本でも。
ミツバチの絶滅まで、あと10年と言っている学者もいるそうです。さらに、いつもミツバチに関わる養蜂家の方々は、「肌感覚ではあと5年かな」とおっしゃっていました(先日見た映画『みつばちと地球とわたし』の中で)。
なんか、ぞっとしました。そういえばメダカ、蛍、ヒバリ、子どもの頃あんなに身近だったものがめっきり遠いものになりました。ミツバチは、蜂蜜を集めるだけじゃなく、大切な受粉という仕事をしてくれています。私たちが普段食べている食べ物の70%はミツバチの受粉がなければ育ちません。
ミツバチの絶滅は、人類の危機なのです。何故、ミツバチが減ってしまったかは色々な要因がありますが、主な原因のひとつが、ネオニコチノイド系の農薬だということがはっきりしてきました。中国の四川省の茂県では長年農薬をまき続け、自然の植物の生態系を破壊した為、ミツバチをはじめとする送粉昆虫(ミツバチ以外にも花粉を運んでくれる生物がいます)がほぼ全滅してしまい、りんごの花が咲くとミツバチではなく人間が特殊な刷毛を使いひとつひとつの花に受粉する作業をしているそうです。
今まで、生態系を破壊するような現実に遭遇するたび、まだ大丈夫、何とかなるんじゃないか、代替があるんじゃないかと、どこかに希望を求めて暮らしてきましたが、もうそんなこと言ってる場合じゃないと思いはじめています。3.11以後、あんなに学んだはずなのに、原発は止まるどころか、再稼動。農薬の基準は甘くなる、種子法は廃止、日本は遺伝子組み換え農産物の承認数309種、米国ですら179種なのにという具合です。知らない間にどんどんどんどん大変なことになっているのです。人間ファーストではない暮らし方に戻したら変わる様な気がします。DVD「ミツバチからのメッセージ」 もおすすめです。
今年の夏、とっても美しいミツバチとくだもの絵本が出版されました。どちらも愛すべき生涯の友となりそうです。
「ミツバチのはなし」
ピェトル・ソハ絵 ヴォイチェフ・グライコフスキ文 武井摩利訳 2800円+税
大判の絵本です。ミツバチに関するたくさんのことが描かれ、蜂群崩壊症候群、受粉のことなど、新しい情報もたくさん入っています。
「ソフィーのくだものばたけ」
ゲルダ・ミューラー作 ふしみみさを訳 1700円+税
この絵本にも植物とミツバチの関係がきちんと描かれています。
『ミツバチは、シリーズの前の巻の『ソフィーのやさいばたけ』にも載っているので、ゲルダもとても気にしているのだと思います。』と翻訳したふしみさんがおっしゃっています。