暮らしのあれこれ97 チェルノブイリ法って?
チェルノブイリ法とは
被ばくから、命・健康を最大限守るために、チェルノブイリ事故5年後の1991年に旧ソ連で制定され、ソ連崩壊後にロシア・ウクライナ・ベラルーシに引き継がれた法律。
国家の加害責任を明記し、予防原則に計り、生存権を保障した、放射能災害に関する世界で最初の人権法です。追加被ばく線量年間1mSvを基準に、移住・避難・保養・医療検診等が保障されました。
年間5mSv以上は「強制移住地域」。1?5mSvの地域は移住の権利が与えられ、移住先での雇用と住居を提供。引越し費用や損失財産の補償を行いました。移住を選択しなかった住民には非汚染食料の配給、無料検診、薬の無料化、非汚染地への「継続的保養」、年金優遇も実施。
年間0.5?1mSvの地域は「放射線管理強化ゾーン」として、保養の権利・医療検診の保障がなされ、32年経った今も幅広く市民の健康と生活を守っています。
(『市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会』チラシより)
講演会に参加しました
先日、「ルポ チェルノブイリ28年目の子どもたち」の著者でインターネット放送局「Our Planet-TV」代表の白石草さんの講演会に参加しました。そこではじめて「チェルノブイリ法」というものを知りました。誰に聞いても素晴らしい法案だとウクライナの方はおっしゃるこの法案は福島に活かされているのか。福島の原発事故から8年たった今、子どもたちの健康状態は事故前と比べてどうなのか、そしてその対策はどうなっているのかといったお話がありました。
あわせて映像記録「チェルノブイリ28年目の子どもたち~低線量長期被爆の現場から~」を見ました。映像の中で印象的だったのは、ウクライナのコロステン(チェルノブイリから160kmの距離)の学校(6歳から17歳までが通う)で『100%健康な子どもはいません、事故前は大変良い健康状態だったのに非常に悪化している。頭痛、疲れ易い、鼻血の症状が多い』という言葉。この子たちは事故後何年も経ってから生まれている子どもだと思うと、今後の福島のことを思わないわけにはいきません。
この日の講演会の様子は、主催のプラムフィールドのホームページに詳しく紹介されていますので、是非見てください。
http://plumfield199905.com/2019/05/2460
おすすめのブックレット2冊
ルポ チェルノブイリ28年目の子どもたち
ウクライナの取り組みに学ぶ
- 白石草著
- 岩波書店
- A5並製・79頁
- 620円+税
この本の取材は2014年。特に第4章「チェルノブイリの教訓がなぜ活かされないのか」を読むと素人ではどうすることもできないような、影の圧力を感じてしまいます。
- ルポチェルノブイリ28年目の子どもたち917
- 620円+税(10%税込682円)
054-251-8700
3.11後の子どもと健康
保健室と地域で何ができるか
- 大谷尚子、白石草、吉田由布子共著
- 岩波書店
- A5並製・79頁
- 660円+税
政府が、子どもを守ろうとしないのであれば、民間レベルで守っていくしかない!その方法のヒントになると思います。
- 3.11後の子どもと健康(岩波b969)
- 660円+税(10%税込726円)
054-251-8700
日本の「子ども被災者支援法」は?
さて、日本では2012年に「子ども被災者支援法」が成立しました。この法律は日本からの調査団がウクライナのキエフでチェルノブイリ法を管轄する非常事態省で法の現状と課題についてのレクチャーを受けたことなどの成果だったようですが、いまだに具体的な支援計画は制定には至っていないようです。チェルノブイリにできたことが、なぜ福島でできないのか?大いに興味のあるところです。興味のある方は是非以下の講演会にご参加ください。
チェルノブイリ法日本版制定の意義を考える
- 講師:柳原敏夫(『市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会』共同代表)
- 日時:2019/6/8 13:30?15:30
- 場所:アイセル21
- お申し込み・お問い合わせ:プラムフィールド
百町森も支援を続けます
百町森では、3.11以後、店頭での売上の一部を寄付する形で色々な支援に協力してきました。現在は特に福島の子どもたちの保養の為の活動に使わせていただいています。募金先は下記の2箇所です。引き続きご協力をよろしくお願い致します。
(山崎直子)