'08年に出版された本の中で印象に残ったもの1~3

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昨年、出版された本の中で、印象に残った本を紹介します。百町森でお薦めする本は、基本的にはロングセラーのものが多いので、新刊を紹介する頻度は少ない訳ですが、新年にあたり一年を振り返って、ちょっと心に残った本を整理し、ここで紹介してみます。

『ながい ながい旅?エストニアからのがれた少女?』イロン・ヴィークランド/絵、ローセ・ラーゲルクランツ/文、石井登志子/訳

60年前のエストニア、おばあちゃんに預けられることになった女の子は家族と離れ一人汽車に乗った。何があっても犬と一緒なら力強く生きていたが、ある時兵士がやって来て...。リンドグレーンの本の挿絵で有名な画家の自伝的作品。それだけに凄い迫力を感じる。戦争が如何に残酷か「犬の死」という子どもの視点で見事に表現していて胸を打つ。戦争の愚かさと対比的に助けてくれる人の有難さも伝わる絵本。絵の美しさが一際光る。本体価格1,900円です。


『フィリッパ・ラズベリーのうた』 エヴァ・ビロウ/作・絵、石津ちひろ/文

子どもなら耳を澄まし目を見開いて森を歩けば、きっとこの絵本に出て来る妖精や小人たちが見えるのだろう。背中に緑の羽根がある妖精フィリッパ・ラズベリーが買い物に行く様子(なかなか帰って来られなくなるんです。)や、お寝坊のトロル小人フンペが学校(反対の事をすると褒められる変な学校)へ行く様子が。ベスコフの影響で絵本作家になったという著者だけあって、妖精や小人が本当に生き生きと描かれている。絵は単色の線画でちょっと隠し絵的効果が出ている、いくら見ていても飽きない。本体価格1,300円。


『あまがえるさん、なぜなくの?』 キム・ヘウォン/文、シム・ウンスク/絵、池上理恵 チェ・ウンジョン/共訳

昔、母さんの言う事を聞かず、言われた事の反対ばかりするへそ曲がりのあまがえる子がいた。あんまりへそ曲がりな事ばかりするので、とうとう母さんは病気になってしまった。「もし、自分が死んだら...」と母さんは言う。いつも反対に受け取るの子なので、なんとわざと反対の事を言って母さんは死んでしまう。ところが...。韓国・朝鮮では誰もが知ってる昔話を絵本にしたもの。「そんなへそ曲がりな事言うとカエルになっちゃうぞ!」って言われる訳ね。この絵本、今韓国で凄い人気だそうで、訳者の池上理恵さんが韓国に行った時見つけて、ほれ込んでしまったらしい。実際、絵が実に力が抜けていて上手い。悲しい話なんだけど、この絵のお陰でとてもユーモラスになっている。かえるくんが抱きしめたくなるくらい、愛らしい!
本体価格1,500円。

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