『あたしい ともだち』 '08年に出版された本で印象に残ったものその2の4
『あたしい ともだち』トミー・ウンゲラー/作・絵、若松宣子/訳
ラフィ・バモコは大工仕事が大好きな男の子。小さい時に父さんが道具の使い方を教えてくれたからだ。ラフィはこの土地ではよそ者のようで、9歳の誕生日にも友達が来ない。そこで得意な大工仕事でイヌやネコを作ってみる。その音を聞いてお隣の女の子キー・シン(この子もここでは肌の色の違うよそ者のようだ。)がその作り物に興味を持つ。キーは得意な縫い物で友達を作る。ここでいう友達とは、つまりアートのことだ。このアートの魅力に惹かれて、ついに子供達が集まって来た。いろんなガラクタを集め、芸術作品がどんどんできる。でも、大人の中には芸術を理解しない脳天に穴のあいた奴もいるようだ。この辺がウンゲラーらしい批判精神に溢れている。
最後、ラフィもキーも大人になって有名な芸術家になる。この結末は私的にはちょっといただけない気がする。二人が凡人に終わったってそれはそれでいいじゃないの? 芸術を愛する事が人生を豊かにしたっていう終り方でもいいんじゃないですか?
この絵本、絵を見ているだけでも、かなり楽しめる。久々ウンゲラーを満喫できてファンの一人として嬉しい!
本体価格1500円。