'08年に出版された本で印象に残ったものその4?8

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『おやすみ、かけす』マリー・ホール・エッツ/文・絵、まさきるりこ/訳
小さな男の子が、カケスやカエルや山羊の声に耳を傾けたり、風に揺れる葉に心を動かす。男の子は動物たちに「おやすみ」と話し掛け...。自然の身の回りのものに目を止め、一体化していく子どもならではの世界が描かれている。エッツはこの絵本を'74年に描いたようだ。待望の日本デビューとなった。

さて、ストーリーも絵も描き過ぎず、まさにエッツらしいのだか、でもこの絵本、エッツのファンなら「あれ? 『わたしとあそんで』にちょっと似てる。」と思うだろう。その意味で、ちょっと未完成な感じも否めない。私としては先ずは『もりのなか』や『わたしとあそんで』を買って頂いて、充分エッツファンになって頂いてから、この絵本を買って頂きたい。でも、まだお子さんが0歳1歳2歳なら、この絵本から「エッツの世界」に入って頂いていいと思う。こういう子どもの内的世界が描ける作家はそうはいないから...なんて思う。

本体価格1200円。


『てぶくろが いっぱい』フローレンス・スロボトキン/文、ルイス・スロボトキン/絵、三原 泉/訳
ネッドとトニーは双子の男の子。ある日トニーがてぶくろをなくすと、近所の人たちが次々と落ちていたてぶくろを届けてくれた。双子の家にはてぶくろがいっぱい。こんなに沢山どうしたらいいのだろう。その時ネッドがいい事を思い付く...。

スロボトキンと言えば3年前の『スーザンのかくれんぼ』(これは新装版の復刊)、2年前の『ねぼすけはとどけい』と、大変ほのぼのしたいい話を描く人。今回も実に温かいいい話。

本体価格1200円。



『たたんで むすんで ぬのあそび』平野恵理子/作・絵
ハンカチがバナナになり、おしぼりが人形になり、バスタオルが馬になり...。バンダナやタオルなどを使った面白い変身術のページも充実している。どこでも楽
しめる小さな布遊びの本。子どもは見るだけで遊びのイメージが沸くだろう。大人は子どもに遊びを提供する時に使える。画期的科学絵本と言えるだろう。

本体価格838円。


『あたしい ともだち』トミー・ウンゲラー/作・絵、若松宣子/訳 ラフィ・バモコは大工仕事が大好きな男の子。小さい時に父さんが道具の使い方を教えてくれたからだ。ラフィはこの土地ではよそ者のようで、9歳の誕生日にも友達が来ない。そこで得意な大工仕事でイヌやネコを作ってみる。その音を聞いてお隣の女の子キー・シン(この子もここでは肌の色の違うよそ者のようだ。)がその作り物に興味を持つ。キーは得意な縫い物で友達を作る。ここでいう友達とは、つまりアートのことだ。このアートの魅力に惹かれて、ついに子供達が集まって来た。いろんなガラクタを集め、芸術作品がどんどんできる。でも、大人の中には芸術を理解しない脳天に穴のあいた奴もいるようだ。この辺がウンゲラーらしい批判精神に溢れている。 最後、ラフィもキーも大人になって有名な芸術家になる。この結末は私的にはちょっといただけない気がする。二人が凡人に終わったってそれはそれでいいじゃないの? 芸術を愛する事が人生を豊かにしたっていう終り方でもいいんじゃないですか? この絵本、絵を見ているだけでも、かなり楽しめる。久々ウンゲラーを満喫できてファンの一人として嬉しい! 本体価格1500円。
『おいしいおと』三宮麻由子/文、ふくしまあきえ/絵 「カコ ホッ カル カル カル カル カル」。さて、この音は何を食べる時の音でしょう。正解?は春巻! 食べ物を食べる時には口当たりや歯ごたえによっていろんな音が出る。この絵本は何種類か身近な食べ物を取り上げ、食べる時の擬音を書いている。音を聞いて唾液が出て来そうな物もある。さて、じゃあ「サシュッ スウィーン」は何を食べる時の音でしょう?子どもに読んでやる時はこんな風に先に擬音から言ってクイズみたいにするといいよ。 本体価格800円。

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