松岡先生のお話しを私(柿田)は30年前、百町森がスタートしたばかりに、運良く静岡で家庭文庫をしている人たちが開いた講演会に誘ってもらって聞くことができました。その時先生はその頃の子どもたちのお話しを聞く時の様(本を読んでやっていると字を読みに来る子がいるなど)や、その頃の子育て事情(お母さんたちが「早く、早く、早く」と三回連呼して子どもを急かすことなど)や、お話し(ストリーテリング)の意味や、実際に「エパミナンダス」のお話しをしてくれたりしました。それらはすべて、まだ駆け出しの私に大変な衝撃でした。
それ以後ずっと私は松岡先生を慕ってきました。百町森30周年ということで、この方をぜひと思った次第です。
さて、今回の保育セミナーは「遊びが育てるもの」というメインテーマに即して、まず先生に私が子どもの「遊び」と「お話し」の関係についてインタビューをしました。先生の答えはかいつまんで言ってしまえば(失礼をお許しください)、よく遊ぶ子はお話しをよく聞くということでした。
また、私がドイツのある幼稚園を見学した時に、同じ物語を毎日毎日一ヶ月近くお話ししていたことに感動したので、それについて聞いたところ、「お話しは音楽のようなもので、何回聞いてもいいし、聞けば聞くほど内容が深まっていく...」というようなお話しをされました。
そして、助手として来てくれた森本真実先生(写真右)と交互に沢山お話しをしてくれました。参加者の皆さんが、それらのお話しにのめり込んでいって、ため息やらどよめきやら、会場全体が一体になって感動している様子が伝わってきました。
最後に、参加者からの質問に答えて頂きましたが、これがまたすごかった。誠心誠意な的を射た答えだったのですが、子どもたちを本の世界に誘い込む事に生涯を賭けてきた迫力と言うか、魂のようなものを感じました。
松岡享子という人の偉大さに心から敬意を表したいと思います。