読み聞かせに向いている絵本 7　　　　　　　　　『あかい ふうせん』

『あかいふうせん』　イエラ・マリ作

さて、今月取り上げるのは赤黒二色で描かれた文字なし絵本です。ですから、一般的には読み聞かせに向いているとはいえません。でも、私はアートとも言えるこの絵本を是非皆さんにレパートリーに加えてほしいのです。
ガムかなと思った赤い丸が大きくなって風船になり、その風船はページをめくっていくと林檎のようになり…。

先日毎月行っている保育園でこれを読んでみました。どうなるのか心配していたのですが皆食い入るように見てくれました。
さて、私はこの文字なし絵本をどうやって読んだと思いますか。
正解は-そうです、声に出して読むことはしなかったのです。ただページをめくっていくだけ。
「ガム！」「風船！」などと声に出す子もいました。でも、ほとんどの子は静かに集中してじっと見ていました。絵は遠目が効いてめちゃくちゃインパクトがあります。この子たちが読み聞かせに馴れているせいもあるでしょう。
でも、それ以上にこの子たちの心に何かを残したなという手応えがありました。