今回はもう一冊、夏になると中高生に読んでやりたい絵本『戦争を平和にかえる法』をご紹介します。L・アームストロング著、B・バッソ絵、筑紫哲也訳・解説 本体価格1600円
舞台は海岸の砂場、男の子(ジョニー)が砂でお城を作っている。が、そのすぐ側に、スージーという女の子(『レモンをお金にかえる法』ですでにお馴染み)もお城を作りはじめた。今にもイザコザが起こりそうだ。この状態は「潜在的紛争地域」というらしい。男の子は「あっちへいけよ!」と怒鳴るとこれが「論争」。スージーが怒鳴り返して「紛争」となり、その後「武力による抑止力」や「侵略」や「奇襲攻撃」など何やら物騒な用語が次々飛び出す。でもこれ、ぜーんぶ子どものけんかの話なんだ。
ジョニーとスージーがすごい剣幕でやり合っているところに、ピーウィーという「中立」の男の子がやって来て、「話し合いによる解決」「和平提案」をする。だがふたりはどちらも気が強いようで、なかなか「歩み寄」らない。この辺の二人の表情はアメリカ人画家らしいデフォルメによってすごく面白く描かれている。さて、この二人どうやって「武装解除」し「平和」にたどり着くと思いますか?
この絵本、最後に2008年に亡くなったジャーナリストの筑紫哲也さんが、皮肉たっぷりの、でも迫真の解説を書いている。これも読む価値がある。これを単に子どもの喧嘩と読むなかれということだ。絵本の最終ページにその意味が描かれているのですが、それは読んで人だけのお楽しみ。
(百町森には20×16cm新装版と24×18cm大型旧版の両方とも取り扱いしています。価格は同じです。)
2010年7月に書かれたブログ
明日から8月になります。夏真っ盛り、夏と言えばおばけということで今回はお化けの絵本『さくぴーとたろぼうのおはなし おばけかぞくのいちにち』をご紹介します。西平あかね作・絵 本体価格800円
どの家でも子どもがなかなか寝ないと「お化けが出て来るぞ!」と大人は言いますよね。この絵本の話しはそこから始まります。実はお化けにも家族があって、お化けの子も夜保育園に出掛けるというのです。お父さんお化けの仕事はなんと人を脅かす事、朝ごはんには毒きのこのサラダをつまみにビールなんか飲んでいます。そして極めつけは寝ないお化けの子には足がはえて来るとお母さんお化けが脅かすところ!。微笑ましいですね。
左ページに現実の家族、右ページにお化け家族の事が同時進行で描かれているのが手法として成功しています。上手い! それに、絵の力の抜け具合が微笑ましさを助長しています。
でも、これを子どもに読んでやった後からは「お化けが出る」と言って寝かせられなくなるかも。
3歳位〜
7月、今日も雨になりました。まだ梅雨は続いているのですね。今回は雨と洪水をテーマにした絵本フランソワーズの『まりーちゃんとおおあめ』を読みました。さらに『三びきのやぎのがらがらどん』を素話でしました。
7月になりました。まだ梅雨は続いていますね。今回は雨というよりは、洪水をテーマにした絵本『まりーちゃんとおおあめ』を取り上げます。フランソワーズ作・絵 木島始訳 本体価格1200円
この絵本は同じくまりーちゃんが主人公の絵本『まりーちゃんとひつじ』『まりーちゃんのクリスマス』同様、ぱたぽんというひつじが出て来ます。さらにまでろんというあひるも重要な役割で出て来ます。
雨がずっと続いて辺り一面水びたし。まりーちゃんは先ずのろまのおばあちゃんを2階にあげ、いきものも安全な所へ避難させます。
そこへ救助の手が…。
まりーちゃんは後で人助けもします。そして、最後はお日様がキラキラ輝く絵でハッピーエンド。
フランソワーズの絵本は皆そうなんですが、まるで女の子のおしゃべりがそのままお話になったみたいな感じで、なんともキュート。絵もいたずら描きみたいでほのぼのしています。
でも、テーマはちゃんと子供心をくすぐります。
是非この時期読んでやりたい絵本です。4歳位〜