読み聞かせに向いている絵本 28 『さくら』
そろそろ今年は桜の花がいつ頃咲き始めるのかなんて言う話題がささやかれる季節になりました。今年は早いのか遅いのか、どうなんでしょうねぇ。
桜の花ほど日本人の心を揺さぶるものはありません。でも、花が咲いていない時、桜の木はどんなふうにしているのでしょう。
この絵本『さくら』は1年を通した桜の姿を追いかけています。
長谷川摂子文 矢間芳子絵・構成 本体900円+税〈かがくのとも絵本〉
花が散った後ではっぱの赤ちゃんが出てきて、それが大きくなり、はっぱの陰ののたまはサクランボの実になり、雨の季節に葉はどんどんしげり、夏の虫たちはその葉を美味しそうに食べ、秋が来れば衣替え…。
冬、凍えそうな寒さの中でも芽は静かに生きていて、春にはその花の赤ちゃんが目を覚ます。芽からつぼみに、つぼみから花に、花は四つ子だったり五つ子だったり…。
そう、桜が奇麗なのは花の時だけではないのです。これはそのことを気づかせてくれる嬉しいえほんです。