子どもが初めて何かをしようとする時って、やはりすごい体験ですね。
そういうことの繰り返しが言わば大人になっていくってことなんでしょうが、見守る方の親としてもはらはらドキドキの体験です。
そういうことをテーマにした絵本を今月は二冊紹介します。
その代表的な絵本はなんと言っても『はじめてのおつかい』筒井頼子作/林明子絵 本体800円+税
〈あらすじ〉
ママはお料理で忙しいらしく、下の子のために牛乳を買って来てとみいちゃんに頼みました。
「うん!みいちゃん、もういつつだもん」と答え100円玉を2つもらって出かけたみいちゃん。
店に着く前にもいろいろありましたが、やっと店に着いたら今度は大きな聞こえる声で「牛乳ください!」が言えません。自分より先に何人かが用事を済まして帰って行って、もう一度力いっぱい大声を出し…。
この絵本はあまりにも自分の体験そっくりで、子どもに読んでやろうとすると涙が出てきてしまうという保育者を知っています。それも1人じゃない。すごーくリアリティのある絵本だということですね。
たまたま今出ている母の友の5月号連載「絵本作家の書斎5」で筒井頼子さんを訪ねています。それによると自分の子の本当にあった体験を書いたそうです。実際には心配のあまり、後をそっとついて行って、お店ではとうとう自分が声を出しちゃったそうです。これもいい話ですね。
この絵本は林明子さんの物語絵本デビュー作でもあります。
林さんは編集者にもっと遊びなさいと何度も何度も描き直しをさせられたという話を聞いたことがあります。その結果絵の中に隠し絵的な遊びをたくさん入れたユーモアたっぷりの絵本になったんですね。
この絵本、発売から35年たつ今でも大変人気があるロングセラーです。4歳から