石井桃子さんの「かつら文庫」を訪ねて
8月26日、私は連れ合い山崎直子と東京・荻窪にある「かつら文庫」を訪れました。ご存じ「かつら文庫」は故石井桃子さんが自宅で開いていた文庫(私設のミニ図書館)ですが、今も東京子ども図書館が活動を引き継ぎ毎週土曜日 (第5土曜日、祝日、夏期・冬期の特別休館を除く)は近所の子どもたちのために開けているそうです。
今年になってからはお家を改築して資料館としても機能していて、こちらは毎週火・木曜日午後1:00〜4:00のみ見学させてもらえます。見学希望の方は、事前に東京子ども図書館にお問い合わせを。電話03−3565−7711
私たちも予約して見学に伺うと、数人の見学者の方がいらしていて、2グループに分かれて係の方に案内され説明をしていただきました。
1 偕には文庫として使っている部屋、賞をとった子どもの本と渡辺茂男さんの蔵書が展示してある書庫があり、2階の展示室には太田大八が描いた『寺町三丁目十\n一番地』の実際には使われなかったさし絵の原画や赤羽末吉、瀬川康男などの原画も飾られていました。同じく2階には全国の子どもの読書推進グループの活動 を紹介する「マップのへや」があり、なんとここには百町森の「コプタ通信」のバックナンバーもありました。そして、石井桃子さんの書斎・・・。
今回私は石井桃子さんの書斎を見せていただくのが一番の楽しみでした。
というのは、石井桃子さんが書斎で最後に読んでいらした文章が、なんと、私が児童図書研究会の会報のために書いた文章だったというので、机の実物を書斎とともに一度見てみたかったのです。(写真下から2番目が亡くなった当時のままのもの、撮影者須藤正男)
石井先生は私の文の「コンピューターゲームは五感が充分育ってから」という部分に赤線を引いていらしたようです。(写真一番下、撮影者同)
それが最後というのは単なる偶然とはいえ、私の事をほんのわずかでも心の隅に置いてくださった瞬間があったという証拠ですので、心から嬉しく思っていました。
とはいえ、「マップのへや」に百町森の「コプタ通信」のバックナンバーがあったことも含め、石井先生に恥じない活動をしなければと、改めて襟を正される思いがした次第です。
※新潮社発行『石井桃子のことば』にも、かつら文庫の写真がいくつか出ています。