その方は種本弥生子さん(81歳)。
これまでも孫のためにいくつか絵本作りをしてきましたが、75歳になった頃、これまで趣味の手芸で培った手仕事の知識と技術を生かし、布絵本作りにとりかかりました。
お話(ストーリー)は、作者の山梨県富士吉田での子どものころの原体験から生まれました。
布生地やフエルト、人形用の部品を購入し、何カ月もかかって試作品を製作しました。
出来上がった試作品に孫たちは大喜びして布絵本を読みました。
「こんなに喜んでくれるなら、もっと作ろう」と種本さんは思いましたが、一人でたくさん作ることはできず困っていたところ、親族の企業が宮城県登米市で、東日本大震災後に被災者を応援するプロジェクトとして、被災者が仮設住宅で編んで製作した「編みたわし」を販売していることに気が付きました。
そこで種本さんは、編みたわしを企画した、宮城県登米市にあるNPO「コンテナおおあみ」に、お母さんたちを訪ねてみることにしました。
「コンテナおおあみ」では、編みたわしをデザイン・企画する足立佳代子さんを中心に毎週お母さんたちが集まって、編みたわしを水揚げしています。(ここでは、製作することを、水揚げする、と言います。)
(ちなみに、この編みたわしは「編んだもんだら」とネーミングされてすでに市販されています。タコや、ホタテ、ヒラメ、サンマ、ウニなど三陸の海で取れる海産物をモチーフにデザインされた編みたわしで、とても可愛く作ってあります。編みたわしを製作することを水揚げというのはここから来ています。ちなみに百町森では編みたわしは扱っていません。)
日々編みたわしを編んでいる6人のお母さんたちも、布絵本の楽しさに魅かれて、制作を引き受けてくれることに。
でも、その後が大変、いつもは器用に編みたわしを毛糸で編んでいますが、布絵本は編みたわしとは違う難しさがあって、なかなか上手に絵本が出来ません。
種本さんは何度も東北に製作指導に行きました。
そうして3年の歳月をかけ、『さとやま布絵本』が完成しました。
さとやま絵本「いっしょにあそぼ」
種本弥生子/著 コンテナおおあみ製作
本体27,000円+税(4冊セットバラ売り不可) 閉じた時26×25cm
作者が東日本大震災後に被災者を応援するプロジェクトと連携して作った春夏秋冬全4冊、各見開き1ページの布絵本。副読本付き。
春は、ニワトリのおかあさんとひよこ達。おかあさんの白い羽の下に黄色いフェルトでできたヒヨコが隠れていて、ヒヨコたちを動かすことができます。
夏は、七夕の織姫と彦星。笹に短冊を掛けることができたり、織姫、彦星を移動させたりできます。
秋は、山のリスとどんぐり。ムササビやリスやどんぐりを動かせます。
冬は、かまくらで遊ぶ子とウサギ。雪にウサギが4匹隠れています。カマクラで男の子と女の子の人形を使い遊べます。
販売は百町森が作者から頼まれてしています。
2020/02/05 代表 柿田友広