暴力ではなにも解決しない!
2023年10月18日、82の国と地域が加盟するIBBY(国際児童図書評議会)は、イスラエルとパレスチナの現状について、声明を発表しました。
10月7日(土)からくり広げられている事態に、世界は衝撃をうけ、動揺しています。国際児童図書評議会(IBBY)はいかなる形の暴力にも反対しています。とりわけ子どもに向けられた暴力については糾弾せざるをえません。国連の子どもの権利条約には、すべての子どもは生まれながらにして生きる権利をもつことや、人権と基本的自由の尊重を促進させることが明記されています。IBBYも同様に、すべての子どもの権利が守られることを求めています。
15年前、パレスチナ自治区のベイトハヌーンとラファに、IBBYガザ図書館が開館しました。この2館は、地元の子どもたちが読書を楽しみ、本をとおしてよりよい未来を思いえがくことのできる安らぎの場となっていました。ガザ図書館は、封鎖、軍事衝突、貧困にもめげずになんとか開館を続けてきましたが、現在の戦争によってまた破壊されようとしています。私たちは、この戦争の被害を受けているすべての子どもたちのことを深く案じています。とりわけ包囲されて人道的な状況が悪化の一途をたどるガザで、図書館員や罪のない利用者たちがどうしているかについて、とても心配しています。
人質作戦や大量虐殺 * は許しがたいものですが、現状のような武力衝突ではなにも解決しません。公正と平和とヒューマニティーを信じるすべての機関や組織に対して、外交的解決にむけて力を尽くし、悲惨な戦争を終わらせるよう私たちは呼びかけます。イスラエルの子どもたちもパレスチナの子どもたちも、こんなひどい環境におかれていていいわけがありません。
2023年10月18日
IBBY国際理事会
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JBBY註 * 10月7日、イスラム組織ハマスはイスラエルで少なくとも1400人を殺害し、200人以上を人質にとった。イスラエルは報復として空爆作戦を開始するとともに、ガザ地区を完全封鎖し、水や食糧、電気、ガスなどの供給を遮断した。ガザ保健省によれば、イスラエルの攻撃によって、10月7日から28日までのあいだに、子ども3,000人以上を含む7,703人が犠牲になったという。
今回の武力衝突で私は「瓶に入れた手紙」(作:ヴァレリー・ゼナッティ 訳:伏見操 装画:ささめやゆき)という本を思い出しました。
内容
イスラエルに暮らす少女、タル。
ある日、彼女の家の近くで、パレスチナ人による自爆テロが起こる。
このテロをきっかけに、タルは、「憎しみ」ではなく「希望」を見出すために、パレスチナ人に手紙を送ろうと考えた。
ガザの海で、瓶に入ったその手紙を受け取ったのは…。(版元解説)
この本を読むことで私は幾つもの偏見が崩れていきました。
イスラエルに住む人が皆国家の政策に賛成している訳じゃないこと。
パレスチナガザ地区は天井のない牢屋と呼ばれていること。
それでもそこにはNPOの人権団体がいたり、ガザ地区の人がイスラエルに行くこともあること。
腹が立つことも微笑ましく思うこともいろいろ出てくるけど、結局皆血が通った人間のしている身近な出来事、イスラエルとパレスチナガザ地区の話も遠い出来事ではないんだと思えた一冊です。
(コプタ通信2019年7月号より 柿田友広)
血の通ったこの人たちの命を絶つことはあってはなりません。自分に何が出来るか考える日々です。