2番目に訪れたのはオストハイマー社の近く、エックヴェルデンというところにあるランドシューレという名のシュタイナー幼稚園です。2頭の馬が私たちの訪問を待っていてくれました。
馬を飼っている幼稚園なんて日本じゃ考えられませんね! もちろん子どもたちが乗ったりもするそうです。
ここにも雪の王様が飾られていました。壁にはおさなごイエスを抱くマリアさまの絵(ラファエロの「サン・シストの聖母)、これもシュタイナー幼稚園の定番です。子どもだからと媚びるのではなく、大人も鑑賞にたえられる絵を飾るというのもは日本の保育園ではあまり見かけませんね。
今回初めて教えてもらって知ったのですが、この絵、よーく見ると、マリアさまのうしろに大勢の子どもの顔が隠し絵のように描かれています。
私たちが訪れたのは午後3時近く、もう帰りの時間になっていて、なんとなくざわざわしていました。私たちの訪問に少しはしゃぎ気味の子どもたちです。
「これは私たちのお風呂よ。」と自慢げにお風呂に入る女の子、マロニエの実がお湯の代わりです。
魔法使いになりきっているようです。
乗馬ごっこで盛り上がる子どもたち。年少の子が子分のように後からついて行きます。馬を飼っている幼稚園ならこの遊びはさぞやよくされていることでしょう。
つい立で仕切って遊び場をつくるのは、シュタイナー幼稚園の定番です。
つい立の中はままごとのスペースでした。
こちらはお店屋さんごっこのスペース。これはシュタイナーに限らず、ドイツの幼稚園のでは非常によく見かけます。
織り機。
天井や照明が面白いですね。
隅っこにはキッチンがあります。これはドイツの幼稚園の設置基準のようです。簡単なおやつなどを実際に作ります。子どもが何か作るのに参加する場合もあります。
2012年の海外版保育セミナーでは、4つのシュタイナー幼稚園を見学しました。
最初に訪れたのはゲッピンゲン近郊のバッド・ボールというところにあるFilstalシュタイナー学校の中のシュタイナー幼稚園です。学校と同じ建物の中です。あらかじめ見学を希望していたので、私たちの訪問を待っていてくださいました。
入ってすぐ感じたのは、室内がピンク色だということ。これは子供が母親の胎内にいた時の色に近いから安心するという、シュタイナー幼稚園独特の考えからきているものだと思います。
真ん中に飾られているのは雪の王さまだということです。季節感を表しています。フェルトや絹の布を使うこういう飾りもシュタイナ幼稚園独特ですね。
半分の小さな子たちがトイレにいっている間、残った子たちは先生のテディベアの歌に合わせて縄跳びをしました。これは体育的な遊びというより、わらべ歌の遊びの延長のようなゆるやかな感じでした。
そのあと年長の女の子がクリーム(ヴェレダのカレンドラベビーかな)をみんなに順番につけて回りました。
そしてまた歌が始まりました。「においがするよー」と鼻をつまんだりする楽しそうな遊び歌でした。
食事の時間になりました。これは第2の朝食と呼んでいるものです。みんなでシリアルを食べています。食器は陶器を使っています。
ランチョンマットには先生作の一人ひとりのマークがつけられていました。
防寒着を着て外に行きます。
近くの自然なままの空き地?(公園というほど設備があるわけではない)で外遊び。
帰ってきてテーブル人形劇を見せます。子どもたちは大変落ち着いていました。先生も決して大きな声を出しません。先生と子どもの信頼関係が抜群にできていると思います。園全体が温かい雰囲気につつまれていました。
今回、デュッセルドルフ近郊のヴッパタールというところにある障害者が大勢働くトラックスラーハウスも訪ねました。
ここで案内してくれた方は
ここで働く人の障害の程度は軽いもの、重いもの様々です。でも、ここではどんなに大変な障害を持っているスタッフも、例えば『商品を見る』だけの場合でも、すべてのスタッフが商品の製作に何らかの形で関わることができるように心がけています。と言います。
さらに
ひとつの作業をするとき、3時間で終える人もいれば1週間かかる人もいます。でも、それはその人の仕事のペースです。ノルマなどはありません。と。
ここでは、シュタイナー学校で使うノートやフェルトや革の製品、椅子等を作っています。百町森でも扱っているコロイ社の楽器もここで作られています。
コロイの楽器は先ずフォルムが美しいですね。美しいだけでなく、存在感があります。教育の現場では、これらが必ずしもいわゆる楽器としてくくられてしまうものではないのかも知れません。治癒や癒しのための存在、音だけでなく形を含めた存在そのものが、意味あるものとなっているような気がします。さらにそうしたものが障害者が生き生き働くこうした場所から生まれてくる事に感動を覚えました。(施設全般を見学させてもらいましたが、コロイを中心に記事にしました)
それにしても、行政からの援助があるとはいえ、障害者がこうした美しい施設で、生き生きと働き、商業的にも成り立っているドイツという国のシステムにも感動せずにいられません。
資料を提供して下さったおひさまやの坂本さん、写真を提供してくれたMoMoの茂木さん、ありがとうございました。
オストハイマー社の社長のシューレさんは、メッセの後のお疲れのところを、今回私たち6人を連れ、工場見学、マルガレーテ・オストハイマーさんと会食、シュタイナー幼稚園の見学と、VIPという名の付いた大きな車をレンタルされ、忙しくアッシー君として働いてくださいました。全く恐縮の至りです。
さて、ここはオストハイマー社の中、社長さん自ら糸ノコをひいてくださっていますね。
色つけをしているところ。
ショップです。
200人の従業員のうち160人は自宅で作業をし、後の40人が工場で仕事をしているそうです。こうしたシステムも面白いですね。「芸術的感性を持っていれば誰でもスタッフになれる、皆さん如何ですか?」と社長さん。私たちメンバーの1人はまんざらでもなさそうでした。
今回の旅ではメッセの後、オストハイマー社を訪ねました。
この一連の写真はオストハイマー社の創始者であるマルガレーテさんにお昼を招待された時の様子です。
先ず現在の社長のシューレさんがマルガレーテさんのご自宅にお迎え行きました。
レストランにて。机の上に日本地図が置かれています。参加者が日本のどこから来たか紹介するために、私が持って行ったのです。
ところが、なんとマルガレーテさんはここにも行ったあそこにもと指を指し始めました。日本に行って、シュタイナー幼稚園を20軒も訪ね、園に泊まったとおっしゃるのです。
今回の参加者です。
マルガレーテさんは82歳、オストハイマー社を始める前は、シュトゥットゥガルトでシュタイナー学校の先生をしていたそうです。
今回、話は自ずと、日本の震災や原発事故のことに及びました。
「原発の問題が起こった時、日本の女性は立ち上がりましたね。」と彼女は言います。
とても素晴らしいことでした。『子どもたちを守る』そのために必死に女性が行動していたことに私は感動しました。マルガレーテさんのこんなやさしい、でも凛としたお言葉に、参加者の女性達はしばし涙を流していました。
長引く混迷の中、なによりも支えになるのは子どもたちが笑顔、それが大人に希望と勇気と安らぎを与えてくれます。それが未来を作る原動力です。子どもたちが笑顔になれるようにかかわる仕事は仕事は素晴らしい。
子どもたちの笑顔のために批判も恐れずに率直に行動できるのは、ドイツも日本も女性ですね。あなたたちも子どもたちの笑顔のために行動しているんです。
こんなに遠くまできて…素晴らしいことですよ。
自分の子どもを育てること、それは未来を育む大事な大事な事です。
それに一生懸命に取り組んでいるあなたたちは素晴らしい女性ですよ!
昼食の後、車に乗られたところ。笑顔がステキです。
ドイツ・ニュルンベルクのおもちゃ博覧会(メッセ)に行って来ました。
先ず最初に訪れたブースはシロフォン付き玉の塔(シロ玉)でお馴染みのベック社。私はここでどうしても話したいことがありました。
前にブログでも紹介した、津波で家が流されてしまったお客さんから来たメールの話を、ベック社の方に伝えたかったのです。(以前のブログ)
なんと、家のあった所に行ってみると、家は跡形もなくなくなっていたのに、ぽつんとシロ玉だけが残っていたと言うのです。
この話どうしても奇蹟としか思えないのですが・・・。
ベック社の方もたいそうびっくりされ、感動されていました。
そのブログ記事をプリントアウトしたものを見てもらっているところ。
真ん中がクリストフ・ベック氏のお孫さん、右がクリストフ・ベック氏のお嬢さんです。