現実と切り結ぶための読書
『だから、新書を読みなさい』(奥野宣之、サンマーク出版) を読んで、新書の良さを再認識しました。ひとことで言えば、新書とは、門外漢にもわかるような分かりやすい「最高のオリエンテーションツール」であり、定番/ロングセラーを目指した普遍的な内容が魅力の教養書・実用書というわけです。
インターネットでの検索が当たり前の今日では、わからないことや興味を持ったテーマについて、すぐに調べることができます。最新の情報を広い範囲から集めることができるのがメリットですが、一方で、断片的な情報や些末的な情報も多く、情報の信頼性も自分で判断しなければなりません。その点、新書はその分野の専門家が、初心者向けに書いた入門書なので、基本が体系的にまとめられていて、内容の信頼性も高いと言えます。「急がば回れ」で、こういった入門書で全体像を把握しておくことで、ネット上の情報がより深く理解できるのではないでしょうか。
一方、子どもの読書を長いスパンで見ると、絵本〜おはなし〜幼年童話〜児童文学と、物語の世界がどんどん深く広くなっていきます。それと平行して、中学生くらいから、自分自身や現実の世界への興味もどんどんふくらんできます。そういった興味に答えるものとして、中学生・高校生を対象に、その分野の一流の専門家が、わかりやすく書き下ろした新書が出ていますので、ぜひお試しください。
2010年6月 佐々木