ドイツの旅99(佐々木)

1999/02/08●幼稚園〜ニュルンベルクでおみやげ〜バンベルク(バンベルク泊)

ついに、ニュルンベルク最後の日だ。いつもより早く起き、荷物をがんがんまとめる。柿田氏は体調を少し回復した様子。昨日、柿田氏が原さんと電話で話したところ、やはり原さんもダウンしていて、3日も寝ているらしい。というわけで、今日の幼稚園見学は原さん抜きで行くことになる。食後、Wittmannさんへの支払いを済ませてから、柿田氏は女性の民泊先へ。Frau Cornelia Leggraaffさんは英語がほとんど話せず、我らが女性陣はドイツ語が全く話せないのだ。

荷物をまとめてごみなどを捨てる。飲み干したUnderbergの小さな瓶Nurnberg Reihelsdolf駅でWittmannさんとが何本もあるので、Wittmannさんに捨てて良いか?と尋ねると、玄関のところに置いてくれとのこと。Wittmannさんが「なぜ、それを知っている?」と聞いたので、「我々の友人の間ではとても有名だ。でも日本では手に入らない」と答える。「それは、胃腸に効く。でもアルコールが強いので、私は好きではない」とのこと。今夜は、世界遺産の街バンベルクへ移動してそこに泊まるが、スーツケースをホテルまで持っていくのも大変なので、駅のロッカーに入れようということになる。よって、手荷物に宿泊用の荷物も詰める。

「また、来年も来なさい。いいおもちゃをたくさん売って、お金を稼いで。11月に連絡をくれれば空けておくから」とうれしいお言葉をWittmannさんからもらい、おみやげやらカタログやらがいっぱい詰まった重たいスーツケースを車のトランクに詰める。横に寝かせないと入らないのだが、3つ重ねるとトランクのふたが閉まらないどころか、3つめはほとんど外に出ている。Wittmannさんは「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と言いながら、トランクのふたを一応ゴムで止めるが、「え〜、こんなんで大丈夫なの?」と思わず心配になるほどのおおざっぱさ。でも、さすがプロ。駅に無事到着。Reichelsdorf駅で荷物を降ろして、柿田氏とWittmannさんはチケットを買いに駅舎へ。私と相沢氏は、スーツケースを持って、地下道をくぐったホームへ。雪の積もった階段なので用心して降りる。柿田氏らは女性を迎えに戻る。しばらくして帰ってきたので、荷物を運ぶために車のところへ行く。Wittmannさんが川島さんのスーツケースを運びはじめたのを見て、川島さんが「I'm sorry. It's too heavy. So....」(ごめんなさい。それは、とても重たいから・・・大丈夫ですか?)と言った時、彼は振り返り川島さんを見ると、満面の笑みを浮かべて、顔の前で人差し指を振るのだった。そのしぐさが様になっていて、あまりにも素敵な笑顔だったので、川島さんも私もある種の感動を覚えたのだと思う。で、思わずみんなに報告し、しばらくはWittmannさんのそのしぐさの真似が一部で流行るのであった。お別れの写真をホームで撮って電車に乗る。なんだか、Wittmannさんと別れるのがとても淋しい。

ニュルンベルク中央駅で降りて、樋口さん達と合流、荷物をコインロッカーに入れる。丁度、スイスへ帰るネフさんとばったり会う。タクシー2台で幼稚園(Matthias-Claudius-Kindergarten)に向かう。駅からとても近い場所で、交通博物館の線路をはさんだ向かいのあたり。 小さな園で、3クラス編成。玄関を入ってすぐの吹き抜けのサンテラスの空間の周りに部屋が並んでいる。サンテラスの隅には、天井から籐で編んだ大きなどんぐり型(?)の篭が吊されていて、中に数人の子どもが入って遊んでいた。おもちゃはパズルやブロック、乗り物のおもちゃなどが多く、フレーベル積木がおいてない。相沢氏曰く、「今まで見てきたドイツの園には必ずあった。ここはまるで、日本の園みたいだ。」とのこと。帰りがけに、それまで恥ずかしそうにしていた子ども達が、みんな窓に駆け寄ってきて、にっこり笑ってたくさん手を振ってくれた。

幼稚園をおいとまして、園長先生(?)に交通博物館まで送ってもらう。露木さんは樋口さん達と同行する。樋口さん達は、今日ドイツを発つとのことなので、ニュルンベルク中央駅で露木さんと2時におちあうことにする。ニュルンベルクは、はじめて鉄道が走った街で、日本で言うなら品川、日本橋と言ったところ。それにちなんでか交通博物館なるものがある。しかし、残念ながら休館日であった。こういった施設は月曜休館が一般的らしい。あきらめて、おみやげを買いにニュルンベルクの街へ向かう。お濠にかけられた橋を渡り、城門をくぐり、ゲルマン民族博物館の前を通って、旧市街に入る。ここで、相沢氏と川島さんは両替をするため銀行へ。その間、私と柿田氏は本屋で時間をつぶす。しかし、両替から戻ってきた2人も本を見始めて、結局30分以上そこで物色する。相沢氏と私は、綺麗な絵本("Rot blau and ein bisschen gelb"「赤、青、そして少しの黄色」女の子がピカソやウォーホルやマグリット、シャガールといった絵画の巨匠達とその代表作に会う話なのかな?)を、柿田氏と川島さんはエッシャーの組立絵本を買う。レジ前の古本コーナーで、トミー・ウンゲラーのポスターブックを見つけたので、相沢氏に教えると即買うことに決定。

しばらく歩くと、刃物で有名なヘンケル(Henckels)の店があったので、中に入ると樋口さん達がすでにいた。樋口さんお薦めのゆでジャガ皮むき用串や、紅茶の葉を入れて湯の中で振る道具など色々買ってしまう。前から欲しかったパン切りナイフも買う。ここでの品定めに時間がかかり、私と川島さんは皆からはぐれてしまう。が、中心街のDODA前にニュルンベルガーのおいしい屋台とバタープレッツェルのおいしい屋台があって、そこでお昼を食べることにしてあるので、とにかくその店を捜す。地理はうろ覚えの上に似たような屋台がたくさんあるので、少してこずるもなんとかたどり着く。相沢氏と柿田氏はすでにバター付きプレッツェルを食べていた。雪が時折ちらつく寒い日だ。柿田氏はまた体調がよくないらしく、そばのマーケットで、いちごを買ってきてみんなにも分けてくれる。この屋台のニュルンベルガーは大変おいしい。相沢氏は、以前ここで食べたニュルンベルガーの味が忘れられず、日本に帰ってからもずっと夢にみていたとのこと。隣のプレッツェル屋で、樋口さんお薦めのバター付きプレッツェルを頼む。

すぐそばで例の二人組みのストリートミュージシャンが演奏している。ギターを弾いている彼の左手は寒さに凍えて真っ赤になっている。「手、冷たくなぁい?」と尋ねる。私のことを覚えていてくれただろうか?今日もリクエストをお願いすることにする。最初は、「A列車で行こうTake the A train」を頼んだがわからず、「サテン・ドール」もわかってもらえなかったので、彼らの楽譜をパラパラと見せてもらって「テイク・ファイヴTake Five」をリクエストする。今思えば「茶色の小瓶」なんてのもよかったかもしれない。しばらく聴かせてもらってから、歩き始める。歩行者天国のような道で、ところどころに屋台が立っている。甘栗みたいなものを売っている店があって、1kg12DM。「5DMでも売ってくれるか?」と聞くと大丈夫なので買うことにする。天秤ばかりを使って割と几帳面に計り売りする。あまりに少なかったので、もう少し追加するが、今度はおじさんは笑いながら、計りもせずにスコップでザザーっと入れてくれる。思わず「さっきの丁寧な計り売りは何だったの?」と聞きたくなるくらい。サービスしてくれたのだ。栗は白くて、甘みは自然な感じ。小さな白い紙袋(あんまんを入れるような紙袋をもう少し頑丈にしたもの)に入れてくれたのだが、なな、なんと、2つのふくろが貼り合わせてあって、食べたかすはもう一つの方に入れるようになっているのだ!なんというか、すごい。

途中、Tシャツ専門店(Hなデザインあり)やのぞき小屋に心を奪われつつ(私だけか?いや柿田氏も喜んでいた)、迷いながらも、木のおもちゃ屋(die spielzeug kiste:おもちゃ箱?)へ行く。ちょうど、森田さんと出会って合流する。ウインドウの中には、木馬やポングラッツベビーが飾ってある。店の中には百町森でなじみの木のおもちゃが棚にたくさん並んでいる。このボリューム感はなかなかのもの。百町森以上といえる。ここで、百町森のみんなへのおみやげ(木の写真立て)や、自分のおみやげを買う。私はメッセでも印象的だったBreitschwerdt Holzspielzeugのろうそく立て、同じデザインで小ぶりの置物、はたきゴマを買う。柿田氏、相沢氏、川島さんもブライトシュベルトさんのものを買っていた。それにしても見れば見るほど、味わい深いよいデザインである。

次に錫(すず)のおもちゃの店(Zinnfigren Claudia Hofmann)に行く。露木さんとの待ち合わせ時間の14:00が近いので、中央駅に迎えに行く。3人には買い物をしていてもらい、終わったら向かいの喫茶店で待っていてもらうことにする。ようやく慣れてきたニュルンベルクの街だが、まだ中央駅まで歩いたことがないので、Uバーンをやめて歩いて行く。中央市場では、移動遊園地の準備が始まっており、メリーゴーランドなどの組立作業が行われている。もう少しいられたら見れるのになぁ。地下を通って中央駅に着くと、駅舎内のコーヒーショップで露木さんとさいとう氏がお茶を飲んでいた。しばらくして樋口さん達も到着。皆さんと別れを告げる。

露木さんと一緒に歩いて、再び錫の店へ。店の中を覗くと誰もいなかったので、喫茶店を見ると3人がお茶を飲んでいた。柿田氏はかなり疲れている模様。相沢氏は、のぞきからくりを5種類とも買って満足そう。とりあえず、買い物を済ませるためにお店に行く。ニュルンベルクは古くから、錫のおもちゃの産地としても有名で、この店にも数多くの錫の飾りものや置物が並ぶ。たくさんの兵士達が銃を持っていたり、行進したりする様は、小さいながらも数で圧倒される。壁飾りは、クリスマスやグリムのメルヘン、聖書の物語などをモチーフにしたものが多い。また、のぞきからくりを錫の細工で行ったような、小舞台のようなものもあり、ニュルンベルクやこの地方の街の様子や、冬のスケート遊びなどがモチーフになっている。この店は作って売っているらしく、色付け前のものや、それに色を塗る道具も扱っている。錫に色を付けること自体が、楽しみや趣味になっているのだろう。店のカウンターのところでも、店員が色を塗っている最中の置物が、絵の具や道具と共に置いてあった。かなり迷ったが、ニュルンベルクの街をモチーフにした小舞台のタイプと、のぞきからくりを2つ(クリスマスマーケットと、カイザーブルクから見下ろすニュルンベルク)購入した。紙を切り抜いて作る着せ替え人形を健ちゃんとヨッシーへのおみやげにする。「ちょっと、ロリ入ってるけどな」と相沢氏。

隣の民族楽器店を少しのぞいた後(露木さんはイギリスのティン・ウィッスルを買う)、最後の1軒、普通のおもちゃ屋へ行くことにする。途中でスーパーマーケットがあったので、イースターエッグのチョコ1ケース(72ヶ入り!)とUnderbergを仕入れる。柿田氏は一人本屋によって頼まれた本を買ったりして、体調が悪いにも関わらず忙しい。場所が今一つわからず迷いながらも、最後は子連れの人に聞いて、教えてもらいたどり着く。フロアが4階ほどある大きな店だが、基本的には木のおもちゃはない。しかし、人形のコーナーにはポングラッツ人形が飾ってあった。う〜ん、おそるべしドイツのおもちゃ屋。ようやく、買い物も終わり、ニュルンベルクを離れることにする。

中央駅でよくわからないながらも、とにかくチケットを買うことにする。今から乗るバンベルク行きと明日乗るフランクフルト行きも頼む。そうこうしている内に、電車の発車時刻があと5分に迫り、スーツケースをロッカーから引き出し、バンベルク行きの電車におおあわてで乗り込む。50分弱で到着する。スーツケースを駅のロッカーに入れる。女性陣は着替えなどをスーツケースの中に入れてあるのとのとこなので、ホテルまで持っていくことにする。

ホテル(Hotel garni ZUM SPATZ)はこじんまりとしたさっぱりしたデザイン。1階がロビーで、木のおもちゃとこどもの洋服を扱っている。ケテ・クルーゼ人形やSigikidのぬいぐるみ、ウッドストックパーカッション社のウインドチャイム、ブライトシュベルトさんのモビールなど結構なじみの深い商品が並ぶ。ここで、ネフ社のSIN(ピエール・クラーセン作)の緑色バージョンを見つけたので相沢氏に告げると、迷うことなく買うあたりは、さすがネフ(クラーセン)マニア。ホテルの人と明日の朝の段取りを決めておいて、早速スモークビールを飲みに出かける。

その店(Schlenkerla)はホテルの近く、歩いて1分とかからない場所。玄関を入ってすぐの部屋は、テーブルと椅子のある待合いスペース。その奥は中庭のようになっている。左側の部屋は飲む人専門みたいで満員。右側の部屋がレストランのようだ。そこへ入っていくと、お客も店員も一斉に我々を見た。そのうち一組の客はあからさまに我々を見続けた。店員は、席へ案内もしないので(しかも我々の後の客にはちゃんと対応したりするので)、少し腹が立って厨房にいるウエイトレスに我々はどこに座ればいいのか?と尋ねた。結局、最初に座ろうとした席は予約が入っていたので、一番厨房に近い席に陣取る。すぐ横にあるアーチ型の壁に1310と書いてある。1310年からあるのだろうか?注文するときに「スモークビール」はすぐ通じたのだが、「スモークソーセージ」がなかなかわかってもらえない。色々尋ねたりして、「たぶんこれじゃないか」というものを2つ注文した。

運ばれてきたスモークビールは、スモークサーモンのスモーク(燻製)の味の部分がそのままビールにブレンドされたような感じで、なかなかいける。スモークビールは本当は、ラオホビア(Rauchbier)と言うそうだ。ビールの原料のビール麦を一度煙(Rauch)に通してあるのでこの名前がついていて、バンベルクの特産らしい。

スープもなかなかおいしい。しかし、「スモークソーセージ(だと思って注文したもの)」は、我々が想像していたソーセージのようなものとは全く違っていて、肉の塊を焼いたようなもので1皿が結構大きい。味はもう一つということで、2つ頼んでしまったことを後悔する。

ビールを飲み干すと、ウエイトレスのおばちゃんが、追加も頼んでいないのに「どうぞ」という感じで持ってくる。グラスを空けると、追加を促すのがこの店のやり方のようで、欲しくないときは「いらない」と言えば良いみたいだ。これはまるで、盛岡のわんこそばではないか、という話からわんこそば、そしておきまりの讃岐うどんの話になる。柿田氏は体調がすぐれず、しばらく飲んでからホテルに戻る。鍵が一つしかないので、ホテルまで一緒について行く。

店に戻って再びビールを飲む。相沢氏と川島さんはどんどん飲む。う〜む、このペースにはついていけない。11時ごろまでねばってホテルに戻る。

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