トイメーカーを訪ねる旅2004 その3

ニック社

ニック社の前身は商社でした。1991年から木製玩具メーカーとして大きく成長しました。私たちに馴染み深い商品は、なんと言っても「ニックスロープ」ですね。「おりきイネス」「おりきロッテ」(2000年にボーン社の織り機のデザインを買い上げました)などでも知られていると思います。他に「Nダンプカー」「N消防車」などの乗り物シリーズも有名です。敷地面積は約2000平方メートルとデュシマ社に負けず劣らずの大手メーカーです。

おりきスージー

さて、私達を迎えてくれたのはヘルテンベルガー社長と、そのご家族。皆、ニック社でそれぞれ重要な仕事をを任されています。2歳になるぼうやもカタログの写真のモデルの仕事をしています(笑)

ジョナサンぼうやとお母さん

倉庫(箱にはジョナサンぼうやの写真)

工場では「乗り物シリーズ」や「ドラムの玉おとし」「ニックスロープ」など、お馴染みの製品の製作過程を見ることができました。知らないところでは木製の足こぎ2輪車などもありました。

「ドラムの玉おとし」組立作業

ニックスロープのオプション部品である船をルータで加工したところ

さすがに大手メーカー、機械はどれも最新のもので、大型ジグとでも呼ぶべき自社開発の機械もたくさんありました。しかし、そんな機械で量産されたパーツたちを組み立てるのは、やはり人の手でした。一つ一つを丁寧に木工用ボンドで、組み上げてゆく様をつぶさに見せてもらいました。おもちゃへの愛情が感じられる、手仕事です。

「ドラムの玉おとし」を作っている女性がいました。細かい作業です。面白かったのは玉をドラムに入れる工程です。ドラムの玉おとしには小さな木の玉が赤・青・黄・緑、各8個づつ入っているのですが、この玉を一個づつ数えて入れるのは大変な作業です。ニック社では、イラストのようなジグを使っていました。そのジグをケースに突っ込んで持ち上げると・・・ナント!玉が正確に8個入る仕掛けになっていました。これをドラムに入れる訳です。ナ〜ルホド。

別の場所では(これまた大型ジグによる)「ニックスロープ」の組立てが行われていました。私は、かつてはこれを自分でやったな〜などと思い出してしまいました。

「ニックスロープ」組立用治具

「ニックスロープ」組立作業

さらに別の部屋では「大型乾燥つや出し機」とでも言うべき大型ジグが動いていました。大型の臼状の機械に小さな木のチップが入れられており、これが精米機のように中でグルグル回っています。木のチップの中にパーツが埋もれては顔を出し、埋もれては顔を出すというのを繰り返します。やがてパーツはきれいに乾燥されえた上にツヤまで出るというしかけ。なかなかスグレモノの機械でした。これもニック社の自社開発機械なのだそうです。

大型乾燥つや出し機

次に私達は「ボードへニッヒ社」のドールハウスの小物の組立ての様子を見せてもらいました(ボードヘニッヒ社も織り機のボーン社と同じくそのデザインをニック社が買い上げています)。実際に音楽を奏でる小さなグラムフォン(蓄音機)をひと目見た私は、早速これを娘へのお土産第1号に決めました。

ドールハウスの蓄音機

最後に、私達は前述の木製足こぎ2輪車に実際に乗って遊ばせてもらったりして、ニック社を後にするのでした。

お気に入りの足こぎ二輪車に乗ってゴキゲンの相沢

(相沢)
訪問日/2004年10月5日
所在地/ドイツ・オーバーシュバーベン地方ラウプハイム

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