トイメーカーを訪ねる旅2004(相沢、山崎)その6

アルビスブラン社

スイスのチューリヒから車で1時間ほどの緑豊かなアルビスという地に創立80年のアルビスブラン社はあります。ここでは14〜22歳の心身に障害がある青年達が本職の人達と一緒に技術を身に付けながら、社会復帰の為の訓練を行っています。利用者は3〜4年かけて職業訓練をするそうで職業訓練所としての機能も持っているのです。いろいろな部門があっておもちゃ製造はその内のごく小さい部門だそうです。

私達が訪れた日には経営責任者のマーティン・ゲーブラーさんはじめスタッフの皆さんとアルビスブランのマークでおなじみの大きな針葉樹が迎えてくれました。

入口にそびえる大木

日本でお馴染みのものといえば「メリーゴーランド」「タワー」「Aはかり」「ポストボックス」でしょうか。この日は1階で、糸鋸の作業、ポストボックスのふたの部分の型抜き、面取りなど、刃物を使った作業を見学、丁度、メリーゴーランドの馬を糸鋸でカットしているところでした。

メリーゴーランドの馬

アルビスブランの歴史について話してくださったゲーブラーさん(右は通訳の横山さん)

1ミリ以下の細い刃を使っているとの事。この刃は20〜30分で交換、刃の種類は4種類あるとのことでした。また、ポストボックスの高さ調整は、職人さんがひとつひとつ鉋で行っていました。2階では、色付け、乾燥、ラッカーの吹き付け、絵付け、箱詰め作業が行われていました。

塗料のバケツに浸けて色づけ

塗装されたポストボックス

メリーゴーランドのパーツの表と裏は印刷、側面はそれができないので手作業で色付けを行います。この色付けの部屋には、他にもたくさんの初めて見る小さい木の動物たちがあってその中には、来年の干支の鳥もありました。完成した製品は3階に運ばれ、きれいに整理され整然と並べられていました。一つの棚にはニキティキへ出荷されるばかりの、ステッキモザイク、積木、はかり、メリーゴーランド、タワーが並んでいました。

ニキティキへの出荷を待つ商品棚

秩序立った作業はとても丁寧で、アルビスブランの製品から感じていた暖かさは、この環境から来るものだったんだと妙に納得してしまった私でした。

その後、ショールームの横にある、外が見渡せる部屋でエスプレッソコーヒーとスティックパイ(十種類位あってすごくおいしい)をご馳走になりました。聞くとこのお菓子もこの作業所内で作られているとの事でした。豊かな日常生活を大切にしているここの人達をつくづくうらやましく思った次第です。

アルビスブラン社 おんどりめんどり

(山崎)
訪問日/2004年10月8日
所在地/スイス・アルビス

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