「将棋世界」に載ったランドルフさん
4月の終わり、ドライ・ハーゼン社(元ドライ・マギアのお二人 Kathi Kappler さん、Johhan Rüttinger さんにイラストレーターの Rolf Vogt さんが加わった三匹のウサギが作った小さな出版社)のブログ記事" Alex Randolph spielt Shogi ..."を見て、びっくりしました。ランドルフさんが将棋を指している写真が掲載されているではありませんか!しかもタイトルには、「5000人目の入段者」。日本語です。きっと昔の将棋の雑誌でしょう。
雑誌名を知りたかったので、彼らに問い合わせたところ、「あるのはこの写真だけで、残念ながらそれ以上のことはわからない」とのことでした。それじゃあ調べてみようと、月刊誌として最も古い歴史を持つ「将棋世界」ではないかとあたりをつけて、発行している日本将棋連盟さんに問い合わせてみました。
そうしたらなんと、日本将棋連盟の文化芸術振興局資料課(ってすごいですね)のYさんから、丁寧なお返事をいただき、「将棋世界」昭和44年(1969年)9月号ということがわかりました。しかも、スキャンしたPDFファイルまで添付してくださいました(ありがとうございます!)。実はあの写真は記事の表紙にあたる部分で、その後ろに対局の記録が7ページも掲載されていました(右写真)。
将棋の対局内容そのものは、記事をお読みいただくとして、ランドルフさんのファンとして興味深い部分をご紹介します。
ランドルフ・アレックスさんは、アメリカ・アリゾナ州出身で、48才。発明家。新しいゲーム(頭脳スポーツ)の発明のために、世界各国をまわっているという。日本に来て3年になり、大変な親日家で、生活様式はすべて日本式。夫人(アメリカ人)も将棋を指し、二枚落では勝てないという。
ランドルフさんの棋力は初段ぐらいで、目下、田丸三段に週二回教わっている。
柿田がヴェニスを訪れた際、病床のランドルフさんにはお会いできませんでしたが、奥さんの Gertrude さんとお話しすることができて、当時もご夫婦で将棋を指していたり、日本の将棋界の動向についてもよくご存知で、「なぜ羽生は、あそこでああいう手を指したのか、わかるなら教えてほしい」と尋ねられて驚いた、と話していました。ほんとうに将棋が好きだったんですね。ゲーム界の長老と呼ばれたゲーム作家が日本の将棋をずっと愛好し続けた、というのはなにかうれしい気持ちになりますね。
日本将棋連盟さんのご好意で記事(PDF形式、約1.2MB)をダウンロードしてお読みいただくことができます。この場を借りてお礼申し上げます。