09 私の情熱に応えてくれた人たち

(写真は、1985年御前崎小学校に講演に行った時)

百人に一人の出会いについて前々回書きました。それは、どちらかと言うと、本の好みや志向についてでした。ところが、時々、そうしたことを越えて、わたしのしている事業と言うか、よいものを普及させようと言う活動を、強力に支持してくれる人が現れることがあります。そういう人はたいてい何か大変な力を持っています。学校の先生であったり、マスコミの人であったり。今思えば、そういう立場にあって、私を利用していただけかもしれません。当時の私はそこまで考える余裕もなく、ただ闇雲に行動していましたが。

たとえば、大学の先生が授業で、私に子供の本の話をさせてくれました。保育専門学校の先生が、本の勉強になるからということで、保育者の卵をお店に来させてくれました。小学校の先生が生徒に小遣い持たせて引率してきてくれました。マスコミは私の孤軍奮闘ぶりをしばしば伝えてくれました。その都度、そうした後で、私の小さな店は足の踏み場もない程満員になりました。

そういう事が実を結んでいるなあと25年たった今思います。当時、学生や生徒だったという人が、今は先生や親になっていて、また、私を呼んでくれたり、お店を訪れてくれるのです。昨年、小学校の国語部会の先生30人位の学習会に呼ばれていったら、そのうちの三人が学生の時私の話を聞いたというのです。保育園に営業に行くと学生の頃お店に来てくれた保育者がいます。小学生の頃よく来たという人が、赤ちゃんを連れてお店に見えます。

でも、私、実は、人前で話すのは大変へたくそでした。初めて呼ばれて行った幼稚園の保護者会の集まりでは、本当にあがって、声もでなくなっちゃいまして、呼んでくれた人も汗だくだくだったと思います。いつも考えていることが、話すとまとまっていない訳です。それでも私は性懲りもなく出かけていきました。呼んでくれる人も、聞いてくれる人も、つまり、私の情熱に応えてくれたってことですかね。

また、中途半端なことを言うと、本気で反論してくる人もいました。若い私はムキになったりして。それも、本当にいい経験でした。

(コプタ通信2005年01月号より)

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