岩波少年文庫629

山のバルナボ

  • 山のバルナボ/ディーノブッツァーティ(岩波少年文庫)
  • 790円+税(10%税込869円)
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商品の説明

舞台はイタリア北東部の山岳地帯。かつてこの地方では山を崩して道路を建設する計画が頓挫し、使うはずだった火薬を保管した洞穴の火薬庫だけが今も利用されています。そのため周辺を警備する森林警備隊では、毎日火薬庫に銃を持った見張りを立てています。

ある時、警備隊の隊長が火薬庫を狙った山賊に殺されます。弔いも終わり、記憶が薄れてきたある日、見張りをしていたバルナボとベルトンは付近で不審な煙が上がったため捜索に出ましたが無駄骨でした。ベルトンより少し遅れてバルナボが火薬庫近くに戻ると仲間と山賊が戦っています!しかしバルナボは突然恐怖に襲われ、逃げ隠れてしまったのでした。

その後解雇され、山を下りて別の地方で暮らし始めたバルナボですが、何年たってもかつての仕事への執着や自分のとった行動への恥の意識に苦しみます。数年後、彼はもう一度別の仕事に就いて同じ山で暮らし始めますが、山賊の影はまだ消えていませんでした…。

読み始めはやや文章が硬くとっつきにくい印象ですが、慣れてくると独特の味わいがクセになります。とくに風景や季節の描写が素晴らしく空気感まで想像できます。抑えた語り口の人物描写や登場人物の心情はていねいに読み返すと心に落ちてくる感じでした。万人向けの口当たりの良さはありませんが、久々に噛み応えのある作品を読んだなという満足感があります。

結末近くのバルナボの行動、皆さんはどう思われるでしょうか。

(コプタ通信2024年10月号より つきちゃんこと築山真希子)

若き森林警備隊員バルナボは、山岳地帯にある火薬庫が盗賊に襲われたとき、怖気づいて岩かげに隠れてしまう。解雇され山を離れたあとも、恥の意識に囚われつづけるバルナボに、やがて名誉挽回のチャンスがおとずれるが……。峰々のそそり立つ美しい自然を舞台に心の苦悩と平安を描きだした、イタリアの人気作家のデビュー作。

(出版社サイトより)

商品詳細

作: ディーノ・ブッツァーティ
訳: 川端 則子
絵: 山村 浩二
内容: 188ページ
製作: 岩波書店 (日本)
初版発行日: 2024年07月12日

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