ペーパーボーイ

  • ペーパーボーイ/ヴィンス・ヴォーター
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商品の説明

1959年、メンフィス。ぼくは夏休みのあいだ、友達のラットに代わって新聞配達を引き受けることになった。すぐにどもってしまうせいで人と話すのは緊張する。でも大人の世界へ一歩踏み出したその夏は、思いもよらない個性的な人たちとの出会いと、そして事件が待っていた。2014年度ニューベリー賞オナーブック。

(出版社サイトより)

1959年のアメリカ、テネシー州。11歳の「ぼく」は友だちの代理で夏の間だけ新聞配達のアルバイトを引き受けます。吃音症で思うように言葉を出せない彼は、タイプライターで文章を打って自己表現することを好み、この物語も彼がひと夏の出来事を振り返ってまとめたという設定です。

主に語られるのは、吃音症にまつわる自分の心のうちと、配達や集金で出会った人々のこと。中でも味わい深いのは本だらけの家に住み、風変わりな話し方をするスピロさん。彼は本の中には「この世のすべてとそれ以上」があるといい、「ぼく」のよき相談相手となります。また、お酒を片手に無防備な部屋着姿で出てくることもあるきれいだけれど幸せではない夫人への「ぼく」の淡い思いも繊細に表現されています。

そして、大きなヤマは「ぼく」の乳母と近所をうろつくごみ拾いの男の因縁に絡む事件! 乳母も男も黒人で、盗みや暴力、殺人などにも独自のルールで対処する当時の黒人社会の描写は私には強烈でした。淡々と語られる、乳母が受ける白人からの差別も忘れ難い印象。

どの登場人物も奥行きのある描かれ方で心に残ります。本好きにおすすめしたい渋めの佳品。来月は続編をご紹介予定です。お楽しみください。

(コプタ通信2020年12月号より つきちゃんこと築山真希子)

商品詳細

作: ヴィンス・ヴォーター
訳: 原田 勝
内容: 290ページ
製作: 岩波書店 (日本)
初版発行日: 2016年07月08日

商品の仕様(色、材質、形状、パッケージなど)は予告なく変更することがあります。記載されているすべての寸法と重量は目安であり、それをお約束するものではありません。

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