パンに書かれた言葉

  • パンに書かれた言葉/朽木祥
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商品の説明

イタリア人の母と日本人の父を持つエリーは、13歳で東日本大震災を経験します。鎌倉の自宅に大きな被害はなかったものの、くり返し流れるテレビの映像や被災地の情報などに触れるうちに食欲や感情のバランスを崩すように。そんな折、春休みに計画していた家族そろってのイタリア帰省に、エリーだけが行くことになります。

イタリアに着いたエリーは祖母が大切に保管している古いパンにまつわる物語を聞かせてもらいます。それは、ナチスドイツに抵抗したパルチザンのメンバーとして命を落とした祖母の兄や、ナチスに連れ去られた祖母の仲良しのユダヤ人少女の話でした。学校で習う歴史の出来事だと思っていたことが身近な人の死につながって、エリーは衝撃を受けます。そして日本に帰国したあとの夏休みには父方の祖父の住む広島へ行き、原爆によって妹を亡くし、自身も被爆した祖父の話を聞きます…。

独裁政権が倒れたあとにドイツに侵攻されたイタリア、原発に翻弄される「フクシマ」、「ヒロシマ」の原爆と、とても重いテーマを扱っていますが、エリーのみずみずしい捉え方や孫を気遣う祖父母の抑制のきいた語り口のおかげで、心にすうっとしみ込んできますし、エリーの名前にも関わる、パンに記された言葉のおかげで読後も前を向けます。現代と当時をつなぐ、今だから生まれた、読んでおきたい作品。ぜひ、手にとってください。

(コプタ通信2023年5月号より つきちゃんこと築山真希子)

ヒロシマとイタリアをつなぐ<記憶>の旅

 わたしには名前が三つある。
 光・S・エレオノーラ。
 エレオノーラは、イタリア語で光という意味。
 Sは何かって? 
 ちょっと大げさな名前だからないしょにしてる。

2011年震災後、少女エリーは親戚のいるイタリアに少しの間避難する。おいしいものと温かい人たちに迎えられ人心地つくが、思いもよらない歴史に触れ、エリーの名前のSに込められた本当の意味を知ることになる。

戦争を乗り越えて生きてきた人々の『希望』を描く、ヒロシマとイタリアをつなぐ物語。

(出版社サイトより)

商品詳細

作: 朽木 祥
内容: 288ページ
製作: 小学館 (日本)
初版発行日: 2022年06月22日

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