シャーロットとしろいうま

シャーロットとしろいうま

商品の説明

この絵本は、シャーロットという女の子がまっしろい馬の赤ちゃんに「あまの川」という名前を付け、育てる話。

私のほしかったのは普通の子馬よ。」とシャーロットが言う。普通のという言葉は”難しい”言葉だが、ここでは「役に立たないが」という意味を強調しているかに聞こえる。なぜなら、その後、お父さんが「競馬うまにはなれそうにないよ」というくだりがあり、弟の学費のため売ることを持ちかけてくるところでわかる。

シャガール風の色使い（センダックは同じユダヤ人のシャガールを尊敬していたのでオマージュととれる）で、はじめシャーロットの嬉しい気持ちが表されているが、馬を売る話になった所だけ、無彩色になる所に注目してほしい。シャーロットがどんなに悲しい思いをしているか。でも、嬉しいことに馬は売らないことに…。やがて馬が一歳の誕生日を迎える時、まわりの皆も祝福してくれ、名前を呼んでくれる。すると…。

馬と女の子の関係が実にいい。そして、これをとりまく周りの人たちとの関係が次第に出来あがっていく様子がみごとに表現されている。手のひらサイズの宝石のような絵本。センダックの本はみなそうだが、これも見開きから、本文に入るまでのアプローチが長くて、もったいぶった感じがまた嬉しい。

柿田友広