きみは知らないほうがいい

  • きみは知らないほうがいい/岩瀬成子
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商品の説明

マスコミなどから流れ出す大量生産的な言葉と違い、文学は見事に内面の葛藤を掘り下げ、読者に問題解決の糸口を見い出させるものなのだと、私は今回この本を読んで強く感じた。

多くの人に読んで欲しい一冊だ。

あらすじ

小学6年の江上米利(めり)は、おばあちゃんに夕食を届けるために乗ったバスで、クラスメイトの昼間くんといっしょになる。どこへ行くのか聞いてみると「きみは知らないほうがいい。」と思わせぶりなことを言う。この奇妙な出会いから物語がはじまる。

米利は5年生のときに些細なことで学校に行けなくなったという事情を抱えていたのだが、この男の子も「いじめ」をうけて別の学校から転校してきていた。

そして、塾の行き帰りの時に、駅の地下通路にいるホームレスのクニさんに差し入れや、収入の足しになるよう古新聞の束を届けていた。

しかも、クニさんと話すことを密かな楽しみにしているようで、米利は後に昼間くんをつけて一部始終を「知る」ことになる。

一方、学校では「最初は冗談のノリで始まるのかもしれない」と著者が言ういわゆる「いじめ」がすでに起こり始めていた。そして、ふたりがホームレスの人と話すこともいつしかクラスの皆に知られ、ふたりへの「いじめ」も激しくなっていく。

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クニさんとの会話する部分は刺激的だ。読者にとっても学校や一般世間とは違う世界を覗き見するようでワクワクする。

著者はこの作品で著者らしい独自のスタンスで社会的な問題に向きあう。たとえば「いじめ」とか「ホームレス」のことを、その言葉で一括りにしていない。それは読者に考えさせることにつながっている。そのことが、すでに一般通念として一人歩きしているこれらの問題ともう一度向き合わせることにもなる。

そして最後の方で、「(加害者側?も含め)皆が学校の犠牲者」と昼間くんに言わせているのだが、この視点に私は思わず鳥肌がたった。

さし絵もこの文学に実にふさわしいいい絵だ。

(コプタ通信2015年4月号より 柿田)

商品詳細

年齢: 小学高学年〜
作: 岩瀬成子
絵: 長谷川集平
寸法: 22×16cm
内容: 184p 
製作: 文研出版
初版発行日: 2014年10月30日

商品の仕様(色、材質、形状、パッケージなど)は予告なく変更することがあります。記載されているすべての寸法と重量は目安であり、それをお約束するものではありません。

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