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　先生からも人気があり、いつも友だちに囲まれているいわゆる・勝ち組男子・のタイラー。美人のエラ・クインとつきあっていたことでも有名です。惚れっぽくて飽きっぽいタイラーが誰かを好きになるたびにまるで「王さまの耳はロバの耳」のように一方的に打ち明け話をするのは友だちのいないクラスメイトの地味女子ヘイゼル。ところがある日彼は・あの・エラ・クインが同性愛者でヘイゼルが好きだと言い出します！

エラ・クインはヘイゼルにとって一方的な宿敵です。なぜなら去年のスピーチコンテストで彼女に負けたから。しかもタイラーの話ではサイテーの彼女なはず。ところがタイラーの打ち明け話の直後、エラ・クインも「話があるの」とヘイゼルに急接近。混乱するヘイゼルですがよくよく聞いてみると、タイラーがエラ・クインのＳＮＳにひどい書き込みをして性的嫌がらせを繰り返していることが判明。

ヘイゼルはエラ・クインとその親友ライリーと一緒にタイラーの嫌がらせをやめさせようと立ち上がります。ところが彼は大人たちに評判がよく、訴えてみても逆に自分たちの方が悪者扱いされる事態に。そんな折、今年のスピーチコンテストが開催されます…。

若年層の間での性的嫌がらせの問題に光を当てた作品です。解説まで含めて読んでいただきたいです。伝えたいことのある作品はストーリーの面白さよりメッセージ性が勝ってしまうとバランスが悪くて興ざめですが、本作はヘイゼルの語り口にもユーモアがあり最後まで楽しめました。面白くてためになる、今読むべき一冊です。

（コプタ通信2024年11月号より　つきちゃんこと築山真希子）

ミドルスクール２年目のヘイゼル・ヒルは、今年のスピーチコンテストで優勝を目指していた。宿敵は、昨年の優勝者エラ・クイン。学校中の人気者エラと、地味で友だちがいないヘイゼルは、これまでほとんど接点がなかったけど・・・同じクラスのおしゃべりな男子タイラーが伝えてきた、エラの秘密をきっかけに、二人は接近しはじめる。そしてヘイゼルは、SNSアカウントの悪質な書き込みに、エラが怯えていることを知る。ハラスメント、LGBTQ、SNSトラブルなど現代的なテーマを扱った青春小説。

（出版社サイトより）