若草物語

若草物語

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前回に続き、今回も不朽の名作のご紹介。

美しく家庭的な長女メグ、作家をめざす男の子のようなジョー、内気で音楽を愛するベス、美術的なことが好きでおすましやのエイミーの四人の姉妹の物語です。父が従軍牧師として出征したため不在のクリスマスの朝から始まり、様々な出来事を経て次のクリスマスまでのほぼ1年を描いています。彼女たちの両親は立派なクリスチャンで娘たちもキリスト教精神を胸に、性質の良さやよい行いを大切にし互いに気をつけ合っています。とはいえ誘惑に負けたり喧嘩をしたりといった現代にも通じそうな失敗談も満載。たとえば、ジョーはエイミーをお出かけに連れて行ってやらず、腹いせにエイミーはジョーの大切な原稿を燃やし、さらに腹を立てたジョーがスケートの時にエイミーに声をかけなかったため氷が割れて…といった事件もありますし、皆で好き放題怠ける実験を一週間続けるなどのお茶目なエピソードも。裕福な隣人ローレンス老人と孫息子のローリーとの交流と豪勢な贈り物にはわくわくします。最大の山場は父が戦地で病気になったため母が看病に向かい、留守の間にベスが猩紅熱にかかり生死の境をさまようあたりでしょうか。

小学校高学年くらいから楽しめます。そしていくつになっても読み返して新しい発見や懐かしい再会が楽しめます。あたたかい家庭の姿とよりよいものをめざす古きよき時代の価値観は、時代をこえ、国をこえて心に響いてくる気がします。

（コプタ通信2011年4月号より　つきちゃんこと築山真希子）