オオカミが来た朝
- オオカミが来た朝
- 1,600円+税(10%税込1,760円)
054-251-8700
商品の説明
本書はオーストラリアを舞台にした短編の連作集です。
最初は父親が急死したため働き口を探しに行く14歳の少年ケニーが主人公。自分が仕事をもらえなければ貧しい一家は離散の運命に!不安と責任に押しつぶされそうになりながらの道中、寄り道がきっかけで死にかけます。命の瀬戸際で悟ったのは、生きてさえいれば何とでもなる、ということでした。
続いては1950年代。認知症の大おばは娘時代の親友の死を記憶できず、何度も悲観に暮れ、それも忘れてふらふらと探しに行きます。ケニーの娘たちは彼女に寄り添うことでちょっぴり成長します。世代を超えた青春の輝きや姉妹の絆が描かれます。
1975年のお話はウガンダからの難民のインド人一家の物語。ケニー夫妻が良き隣人として顔を出します。学校に弟を迎えにいった兄は、弟が本の中にウガンダで住んでいた邸宅に似た家の写真をみつけ、「ぼくの家だ」と言ったせいで嘘つき呼ばわりされたことを知ります。写真はウガンダでの辛い記憶をも呼び起こします…。
紹介した3編以外に、乱暴者の難読症の少女にスポットを当てた物語と、1991年の空爆におびえるイスラエルが舞台の物語、両親の不仲に心を痛める2002年の少年の物語の3つの作品が収められていますが、いずれもケニーやその娘たちに関係があります。
それぞれの時代に居合わせているかのような臨場感があり、ウガンダの痛ましさやイスラエルの緊迫感には圧倒されました。重めのテーマですが、どの作品にも希望や生命力が感じられます。
私も時に流れや命のつながりの中の一点なんだなあ、としみじみ。「今」と「この先」に思いを馳せるために読むべき1冊。
(コプタ通信2020年1月号より つきちゃんこと築山真希子)
商品詳細
作: | ジュディス・クラーク |
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訳: | ふなと よし子 |
寸法: | 20×14cm |
内容: | 240ページ |
製作: | 福音館書店 (日本) |
初版発行日: | 2019年09月15日 |
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