日本国憲法を実行した男

中村哲という希望

  • 中村哲という希望/佐高信・高世仁
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商品の説明

今、戦争の足音が聞こえてくる時代に、中村哲医師の平和主義こそが私たちの希望となる----。
評論家・佐高信とジャーナリスト・高世仁が、『日本国憲法を実行した男』中村哲を縦横無尽に語り合う。

目次

  • 第1章 戦わないために闘う
  • 第2章 テロリズムとグローバリズム
  • 第3章 「義」に生きる
  • 第4章 平和とは戦争がないことではない

(出版社サイトより)

中村さんは84年に医師として最初はパキスタンに行きます。その後行ったアフガニスタンの診療所では包囲され発砲されるというできごとがおきますが、「私たちは人殺しに来たのではない。人の命を助けるためにここにいる。」と言い、皆殺しになろうと応戦してはいけないと止めたということです。

01年9月11日同時多発テロが起き、英米軍が「対テロ戦争」を理由に首謀者がいるらしいということでアフガニスタンへの空爆が始まります。中村さんは外来で列をなして待つ間にわが子が胸の中で死ぬ…という現状で、空爆と飢餓で犠牲になっていく子どもたちを前に、問題は医療以前と考えます。全くの専門外だった灌漑の知識を独学で学び、03年、ついに農村復興のための農業用水安定確保のために自らパワーショベルの運転まで買って出て、10年には最初の用水路が完成、これを皮切りに、干上がった荒れ地が次々緑豊かな沃野に変わっていったということです。

この本では「グローバリズムという名のもと世界中で進行する「(自由や民主主義を含めた)近代化」と、近代とは対極にあるアフガニスタンの伝統社会との生存をも脅かしかねない軋轢について触れ、さらに、イスラム社会の報復のことや女性の権利のことも書いています。そして、タリバンが伝統社会に依拠した土着の政権だと言っています。この辺の話は私が最も考えさせられたところ、この本に出会えて本当に良かったと思いました。

中村さんは「平和とは戦争がないということじゃない。一番大事なのは生存する権利だ。」と言います。…次の世代に残すべきものは何か、それが戦争や経済成長でないことは確かでしょうと。「軍備で暮らしは守れない」ことを中村さんは実践で示しました。軍拡しようという人はこういう考えをお花畑と言いますが、アフガニスタンで中村さんは平和を作り出し、世界の人は拍手を送ります。著者の1人佐高信さんは「中村哲さんは歩く日本国憲法」と言います。そして、外交の大切さを言います。

中村さんの座右の銘は「一隅を照らす」、「世界がどうだとか、国際貢献がどうだとかいう問題に煩わされてはいけない、それよりも自分の身の回り、出会った人、出会った出来事の中で人としての最善を尽くすことではないか…。」と言っています。これはこれから人生をスタートさせようとする若者に素晴らしい言葉ですね。

(2024年4月 柿田友広)

商品詳細

著: 佐高 信・高世 仁
内容: 220ページ
製作: 旬報社 (日本)
初版発行日: 2023年12月25日

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