日本語と民主主義

  • 日本語と民主主義/石杜美弥子
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商品の説明

民主主義って!なんだろう? 戦後生まれの私は、あたりまえに民主主義国家の中で生まれ教育を受け、仕事をし、結婚し子育てをしてきました。そんな中で平和についても考えてきましたが、年々国の在り方に疑問を感じてきています。1人1人の人間の考え方が違うのは当然だとわかっているとしてもです。

そんな折、私にとってとても興味深い本が出版されました。著者は元高校の教師。学校現場での体験から考えた日本語の特徴についての仮説とし、近代日本語の歴史を概観しながら、主語、人称代名詞、敬語の問題を挙げています。これらのことから著者は『日本語を話すということはどうしても民主主義の核心から遠ざかっていく』と述べいくつかの例を挙げています。

  • 「遠い声をさがして」石井美保著(小学一年生の浅田羽菜さんが学校のプールで亡くなってしまった事故のルポルタージュ)を取り上げ、組織同士の責任の所在を曖昧にしてしまう主語の問題を指摘。
  • 自民党の改憲草案で現行の憲法第十三条「すべての国民は個人として尊重される」を「人として」に変えていることについて歴史学者の加藤陽子氏の意見を例に挙げ、尊重される個人が消えていくと人称代名詞の問題を指摘
  • ジャーナリストの伊藤詩織さんが性暴力をうけて刑事告訴した出来事を、敬語が対等で人間関係を築くための阻害になっていると敬語の問題を指摘

どの例もここ最近の事例を使って解りやすく解説しています。 『私たちは主語を必要としない日本語の話し手である。しかし民主主義を考えるとき日本人は日本語のために無意識のうちにその本質から遠ざかっていくという難しさを抱えていることは事実である。それを受け入れなければならない』そして民主的な明るい社会に生きたい。と結んでいます。

第一章の、近代日本語の成り立ちには欠かせない福沢諭吉の「日本語と民主主事思想」について解説。知らないことばかりだったので、自分の無知を恥じながらも福沢諭吉の志に改めてびっくりした。

合わせて2023年1月号のこの紙面でご紹介した「子どもたちに民主主義を教えよう」工藤勇一・苫野一徳著も併せて読んでいただけたらと思います。

(コプタ通信2023年8月号より 山崎直子)

民主主義に関わると思われる日本語の特徴を考えるために、近代日本語の作られてきた歴史を概観しながら、日本語の「主語」と「人称代名詞」の問題を考え、次に敬語使用の問題を考える。その前に日本の近代化に大きな影響を与えた福沢諭吉の文章によって日本の民主主義の原点に立ち返り、日本語と民主主義の関係とその可能性について探る。

これは、日本語の専門家でもなく、政治制度については全くの素人の私がたどる日本語と民主主義を巡る旅のようなものと思って読んでいただきたい。

(出版社サイトより)

商品詳細

著: 石杜美弥子
内容: 114ページ
製作: 東京図書出版 (日本)
初版発行日: 2023年03月

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