子どもに定番絵本の読み聞かせを
- 子どもに定番絵本の読み聞かせを/尾野三千代
- 630円+税(10%税込693円)
054-251-8700
商品の説明
七年前に『子どもに物語の読み聞かせを』を上梓した尾野三千代さんの新しい本をお届けします。尾野さんは、子どもに「定番絵本」を読み聞かせることによって、絵本選びの選書規準を学んだとご自分の経験を語っています。ここでいう「定番絵本」とは「子どもにとって成長の糧となり、生涯忘れえぬ喜びをもたらす絵本」のことです。そして定番絵本がどのように生まれたかを知ってほしいとの願いから、戦後の絵本の歴史について資料を駆使して述べています。
石井桃子、瀬田貞二、渡辺茂男、松居直らの先駆的な仕事、ISUMI会の活動、「岩波の子どもの本」と福音館書店、絵本作家たちの誕生とその挑戦、空前の絵本ブーム……。絵本に詳しくない方には、1冊ずつの絵本が持つ物語に目を見張るばかりでしょう。またベテランの方も、新たな見取り図を示されて襟を正す思いになるに違いありません。個人での学びに、また読み聞かせグループのテキストに最適です。巻末に、解題と件名索引を付した「選書眼を育てる60冊の絵本リスト」があります。
(出版社サイトより)
この本には園や小学校で子どもに読み聞かせをする人にはもちろん、子どもの読書に関わる大人が読むべき重要なテーマが多く書かれています。
私も連れ合いと30年近く園や小学校で子どもに読み聞かせをしてきましたが、この本には読み聞かせの現状に以下のような指摘をしています。すごく納得してしまいます。
「小さな声で話すと聞かないから、大声で何度も言う。起承転結のある静かな世界を楽しむことができないから、アップテンポで話が進み、その場その場で笑わせる本を読み聞かせる。ウケる本を読んでも反応が鈍くなってきたから、もっと刺激の強い本を探す。こんな具合に、できない面ばかりに心を奪われて、子どもに耳をすませて話を聞いたり、ゆったりと想像力を働かせたりする機会を減らしてしまっています。」
そんな読み聞かせ現情や、今の出版事情に対し、著者は次のように分析しています。
おとなの誤解
1.長い話は聞けない 2,地味な絵の本は楽しめない 3.怖い話が好き
おとなの都合
1.よい子の絵本 2.ウケる絵本 3.ためになる絵本
上記については各項目ごとに結構な長さで語っています。興味ある方はぜひ本を読んで頂きたい。
さて、私はこの本を24年11月号の「ピース&エコ」のコーナーで取り上げました。その理由は、著者が「おとなの都合」として取り上げた3.の「ためになる絵本」のところの話が、平和のためになど社会的なことをテーマにしたものを子どもに読むことについて書いてあったからで、私も大変に共感したからです。以下がその要約です。
「おはなし会」はただ軽く笑って楽しい時間を過ごすだけでもダメでだろうし、かといって戦争、貧困、差別、環境問題などの社会的テーマの絵本を読めばいいか、そもそもそれらは大人が引き起こしてしまったものなのだからこれもダメでは…。平和の大切さは私も伝えたいが、残酷な映像を見せたり、センチメンタルな戦争児童文学を読み聞かせるだけでは…そう思い悩む中で、リンドグレーンの、今は『暴力は絶対だめ!』という中の言葉に出会いました。
「平和について話すということは、存在しない何かについて話すということです。真の平和というのは、この地上には存在しませんし、わたくしたちが明らかに達成できない目標という意味以上には、たぶん存在してこなかったでしょう。人類は、地球に生まれてこのかた、暴力と戦いに明け暮れてきました。そして、つかのま存在する、壊れやすい平和は、絶えず脅威にさらされていたのです。」
他者と自由で安心な関係を築き、いっしょに暴力に頼らない解決法を探っていかねばということーーを、本の力を借りて子どもの心の中に打ち立てる事ができれば、これこそ平和に通じる道だ…と言えるのでは。
ここは、読み聞かせや子どもの本に関わる者が陥りやすいところ、肝に銘じなければなりません。私もモヤモヤした気持ちがすっきりとしました。(百町森・柿田)
商品詳細
著: | 尾野 三千代 |
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内容: | 193ページ |
製作: | 児童図書館研究会 (日本) |
初版発行日: | 2021年09月 |
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