物語から飛び出したミニチュアたち
ここに紹介するのは、絵本や物語がものになったミニチュアや飾り物です。主にドイツ語圏の人たちに愛され、読み継がれ、語り継がれてきたお話が中心です。でも、不思議なのは、所謂日本のキャラクター商品とは一味違うということです。立派な工芸品といえるものであったり、そうでなくても、流行やコマーシャリズムとは一線を隔しています。それはこれらの物語が文化遺産に近い程に支持されているからでしょう。作者がこれらを創作のモチーフとして選ぶのも当然な成り行きかも知れません。気に入ったお話のミニチュアを身近におくと、ますます子どもの心に深く残る物語となることでしょう。
(2011年12月 コプタ通信)
ウルブリヒト社のもじゃもじゃペーターシリーズ
1845年に生まれたこの絵本は、当時ヨーロッパのみならずアメリカまでも広がった大ベストセラーで、今もドイツで読まれている超ロングセラー絵本でもあります。 髪や爪を切らずに伸ばし放題のペーターなど10の話が紹介されています。民間のお医者さんだった作者は世に売られている子どもの本に飽きたらず、自分でこの絵本を描いたそうです。話があまりに極端で笑うしかありません。 額入りのセットもありますが、単品でも販売しています。 詳細へ |
箱の中には18弁のオルゴールが入っています。
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ドイツの子どもの本の古典がミニチュアになった
木のおもちゃや造形についての優れた著作も残したヘルムート・フラーデは、オルベルンハウにフラーデ工房を開き、独特の温かい雰囲気を持つミニチュアを作りました(現在は、娘さんが受け継いでいます)。 そのヘルムート・フラーデが同じオルベルンハウのKWO社のためにデザインしたこのシリーズは、「マックスとモーリッツ」で知られるヴィルヘルム・ブッシュの作品や、グリム童話などドイツ人になじみ深いお話を題材にしたものです。 このシリーズを最も特徴づけているのは、繊細でリアリティあふれる造形です。例えば、肘から手にかけては、一度太さを絞ったあとで、服の袖を表現するためにラッパ状に広げるといった細かい加工を施しています。同様に大腿部や膝から下の部分も、単純な円錐形ではなく、リアルな体を思わせるようなシルエットになっています。 しかしながら、ただリアルなだけではなく、極端に手足を細くすることで、軽やかさと可愛らしさも兼ね備えています。また、絶妙な手足の角度から生まれる躍動感のあるポーズ、染めの淡くて渋い色合い(ギュンター・ライヒェルのおじさんシリーズにも似ています)などが、バランスよくデザインされています。お話の世界をミニチュアで見事に表現したこのシリーズは、ヘルムート・フラーデの傑作であり、エルツ山地の中でも最高のデザインのひとつだと思います。(2009年7月10日 佐々木)
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ルンペルシュティルツヒェンの腕の部分 ルンペルシュティルツヒェンの脚の部分 |
ヘルビッヒ工房
グリュンハイニヒェンにある工房で生まれる味わい深い木彫り。
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小さな舞台で表現されるグリム童話
エルツ山地のレンゲフェルトにあるウーリッヒ工房は、職人を雇わずウーリッヒ氏自身の職人芸でひとつひとつの作品を仕上げています。 木工旋盤に材料をセットして、ノミ1本で精密な作品を仕上げる技術は、見ていてほれぼれします。まさに職人芸といえるでしょう。 ここでご紹介するのは、グリムをモチーフにしたミニチュアです。 詳細へ |
この繊細な加工がノミ1本から削りだされます。 |
まさにエルツのミニチュア
耳の尖ったウサギのミニチュアで有名なESCO(エスコ)社は、丸っこい体とツヤのある塗装が特徴です。 見るからにエルツらしい雰囲気はまさに王道。奇をてらわないデザインと加工は、「これぞエルツのミニチュア」感が満載です。 詳細へ |
バベット・シュヴァイツァの錫
ミュンヘンの西、アンメル湖のほとりの町ディーセンにあるバベット・シュヴァイツァ(BS)社は200年以上同じ手法で、頑固なものづくりをしています。昔からの型を今なお繰り返し補修しながら使ううちに、独特の深い味わいが生まれました。わずかな厚みの中に、精緻な世界が表現されています。表裏で異なる模様を、熟練した職人が細部まで丁寧に手で彩色しています。
錫製品全般についてのご注意とお願い
- 箱に入っていません。ビニール袋に入っていたり、厚紙に挟まれた状態でのお届けとなります。
- 色付けは手作業のため、写真と異なる場合がございます。