アドヴェント・カレンダーとは?
12月1日から24日までのカレンダー
カレンダーというと、普通12ヶ月分あるものですが、このアドヴェント・カレンダーは、なんと1ヶ月分(正確には24日分)しかありません。ですが、欧米ほかキリスト教の普及しているところでは、ごく一般的に普及しているカレンダーなのです。12月1日から24日まで、24個の窓を毎日1つずつ開けながら、クリスマスが来るのを刻一刻、今か今かと待ちわびるカレンダーなんです。
どんなものなの?
12月1日から24日まで使う一種の日めくりのようなものです。ただし、日めくりは1枚まるごとめくるのですが、アドヴェント・カレンダーは、1枚の絵の中に1から24までの数字が書かれた小さな窓が散らばっていて、それを毎日一つずつ開けていくのです。窓の部分は、あらかじめ切り込みが入っているので、裏から指で押せば開きます。数字の位置はバラバラなので、最初は「1…1…どこかな???」という感じで、数字を探すところから始まります。窓の中にどんな絵が隠れているかは、開けてからのお楽しみですが、大抵は、おもちゃやお菓子など子どもが喜びそうなものの絵が描いてあります。「今日は何が出るかな?」と期待しながら開けるのはなかなか楽しいものです。そして24日を開けると、そこには(たいていの場合)幼子イエスがいます。
バリエーション
基本は、A4からB5サイズくらいの長方形の1枚ものですが、50cmを超える特大サイズや、逆にポストカードになる小さいものもあります。また、円形や星・ツリーの形のほか、幅の広いパノラマ型や縦に細長いものなど平面タイプだけでもいろいろなバリエーションがあります。家やツリーの形をした立体タイプも存在感があります。チョコレートが仕込んであるものや、ぬりえ、日めくりタイプといった変わり種もあります。
アドヴェント・カレンダーの歴史
クリスマス前の4週間を「アドヴェント(待降節)」といい、キリスト教では、「キリストの降臨を待ち望むクリスマスの準備期間」とされているそうです。このアドヴェント・カレンダーは、子どもたちにアドヴェントを楽しく過ごさせる工夫のひとつとして生まれました。
1902年に世界で最初に印刷されたアドヴェント・カレンダー「クリスマス時計」(右図版の上)は、時計の文字盤の部分に13から24までの番号が振られた12日用のものでした。その後、1904年に印刷業者ゲルハルト・ラングが現在のアドヴェント・カレンダーの原型を作りました。ただこの時は、窓を開けるタイプではなく、切り取った小さな紙を台紙に貼っていくものだったようです。ラングはその後30年の間、工夫をこらした様々なタイプを作成しました(現在のような小窓付きが登場したのは1920年頃。右図版下は1908年ごろのもの)。絵も当時の有名なイラストレーターを使い、採算を度外視した品質の高いものを作りました。しかし、廉価な類似品が出回るようになり、ラング社は1940年に廃業に追い込まれました。1950年代、ドイツのアドヴェント・カレンダーはスイスや北欧などに広まり、今では全世界に輸出されているそうです。
(参考文献:「クリスマスの文化史」若林ひとみ)