創業1848年シュナイダー社の鳩時計
時報を打つ時、同時に窓が開いて鳥が顔を出し、ポッポーと鳴く鳩時計。でも、ドイツ語でクックークス・ウアと言い、これはカッコーの時計という意味になります。日本に入ってきた時点で、身近な鳥・鳩に変えられてしまったようです。7月からお店に置いていたら、「子どもの頃、錘を引っぱったものだ。」と言うお客さんが何人もいました。戦後、日本製の鳩時計がブームになった時期があったらしいのですが、高度成長期以後衰退し、今では日本に作る職人はひとりもいないそうです。日本製の鳩時計の元がドイツ製でした。デジタル隆盛の今、また、こうした職人技が注目され始めることでしょう。ドイツでは同じ技術が今も続いています。
その中でも、もっとも有名なのがアントン・シュナイダー社です。1848年ドイツの西南、フランスとスイスの国境付近に広がる黒い森シュバルツ・ヴァルトのショーナックという町の農家で鳩時計を作り始め、6代目の今日では近代的工場設備を整えた最も大きな鳩時計工場だそうです。特に木彫りの技術、からくりの技術の高さでは有名です。
シュナイダー社の鳩時計の場合、文字盤や針にいたるまで木製です。彫り物は菩提樹、時計本体はスプルース(松の一種、ピアノの響板などにも使われ響きがよい)を使っています。ネジの巻き方は錘(おもり)を引っ張るだけですが、一週間に一度巻けばいい8日仕様と、毎日巻かなければならない1日仕様があります。消音装置が付いているタイプは、赤ちゃんが寝ている時、一時的に音が出ないようにできます。
鳩の鳴き方一つでも、「ピポ、ピポ」もあれば、「ポッポー、ポッポー」もあります。時報も「バン、バン」もあれば、「ボーン、ボーン」もあります。からくりも、鳩が出る以外に、兎や小鹿が跳ねる、煙突から掃除屋さんが顔を出す、水車が回る、二人の男がビールを乾杯するなど。また、時報の後オルゴールが鳴るタイプの場合、テラスの人形がダンスします。
皆さんの好みや置く場所の状況に合わせたものをお選びください。(柿田:コプタ通信2004年11月号より)
エルツ山地の工房による特別バージョンについて
基本はシュナイダー社のデザイン・製作ですが、一部の商品については、ステージ上の人形をエルツ山地の3つの工房に発注した特注仕様になっています。どの工房かは、各商品の仕様表でご確認ください。
ロゴ | 工房名 | 説明 |
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エミール・ヘルビッヒ工房(Emil Helbig Kunstgewerbliche Schnitzereien) | グリュンハイニヒェン生まれのエミール・ヘルビッヒがデザインした、手彫りの味わいを生かした芸術的なミニチュアが最大の特徴。 | |
ハルトムート・ヘニッヒ工房(Hartmut Hennig Erzgebirgische Miniaturen) | ザイフェンの南、ドイチュノイドルフにある工房で、白雪姫や仕事をする人など様々な人形を、伝統的な技法ながらすっきりと現代的な感覚で表現している。 | |
ハンス・ギュンター・フラット工房(Hans-Günter Flath Reifendreherwerkstatt) | 作者のフラット氏は1965年生まれ。1981-1983年に、木のおもちゃ製作者になるための勉強を、別のクラフトマンから学ぶ。1985年からザイフェンの野外博物館で働き始める。 1991-1993年にマイスターを取得後、1993年に自分の工房を立ち上げる。現在も同博物館で「ライフェンドレーン」のデモンストレーション/製作実演を行いながら、夫婦で会社を運営しているそうです。 |
電池式(クォーツ)
保育園・幼稚園におすすめ
通常の鳩時計は、錘を巻き上げて使いますが、こちらの鳩時計は電池で動きます。保育園・幼稚園等、子どもが大勢いる場所でも誤って錘や鎖を引っ張ることがなく安心です。
「ボーン」という鐘の音とオルゴールはありません。鳩の鳴き声は従来のものと同じふいごで鳴ります。
伝統的な機械巻き方式
錘を巻き上げてゼンマイを巻くという、150年以上続く伝統的な工法をそのまま継承して作られた鳩時計。外側の造作は従来のままのものと、一部にエルツ山地の童話をモチーフにしたミニチュアを使った新作もあります。